四谷の千枚田(愛知県新城市)
開催日 | 2024年9月14(土)・15日(日) ※稲刈りは15日 |
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場所 | 豊橋グルメと職人体験/奥三河・四谷千枚田での稲刈り/奥三河観光 |
ご案内 | ヤマサちくわ株式会社 七代目 代表取締役 佐藤元英 https://yamasa.chikuwa.co.jp/ |
日本の棚田百選、日本三大石積みの棚田のひとつに数えられる愛知県安城市『四谷の千枚田』。豊橋に本社のあるヤマサちくわ株式会社では、この棚田の保全活動に賛同して田圃オーナーとなり、社員研修の一環として米づくりに参加してきました。
2021年より【ヤマサちくわ・棚田オーナープラン】を立ち上げ、毎年田植え・稲刈りツアーとしてGEN-Bの皆さんと訪れています。毎回東京や名古屋からの参加者と一泊二日で、ヤマサちくわ 七代目 佐藤元英社長、佐藤善彦副社長が厳選した豊橋グルメや奥三河観光とともにたっぷりと楽しんでいただく盛りだくさんな企画です。
今年の稲刈りツアーは、豊橋・奥三河グルメに加え、ヤマサちくわの職人体験や伝統芸能など、まさに五感で楽しむ内容で2日間を満喫しました。
1日目:『のぼりやうなぎ店』にて豊橋うなぎを味わい、老舗『御菓子所 絹与』を見学後、ヤマサちくわ本店 〜『サンヨネ魚町本店』〜 豊川稲荷を巡り、『ヤマサちくわ豊川インターちくわの里』にてちくわ・練りもの職人体験。夜はヤマサちくわ直営店『広小路でんでん』にて東三河のご馳走三昧。
2日目:ヤマサちくわ本社にてできたて〈半月〉〈特撰ちくわ〉試食後、『JA愛知東 グリーンファームしんしろ』〜奥三河・新城四谷千枚田での稲刈りへ。お昼は『設楽観光ヤナ 八雲苑』で奥三河の自慢の鮎と五平餅を堪能。『関谷酒造』〜『東栄町体験交流館 のき山学校』にてカフェタイム。奥三河の和太鼓集団『志多ら』の稽古場本拠地にて太鼓の実演を見学。
豊かに食べ、愛で味わう人々が集い、語らい、学びあう「GEN-B」の交流会。東京から、名古屋ほか県内から地元からと、食いしんぼうGEN-Bが集まって、いつもに増して予定コース以上の充実度!5月の田植えツアーに参加し、待ちに待った稲刈りも!と駆けつけてくださったGENBIANSも。おおいに盛り上がった2日間となりました。「どんなツアー?」「田植え・稲刈り以外はどんな内容?」と関心を寄せてくださる方も多かったので、稲刈り作業とは別にご紹介します。
1日目は豊橋駅にて集合し、豊橋自慢のうなぎで昼食です。うなぎ生産量全国第2位の愛知県。とりわけ西尾市一色町をはじめ、豊橋市、田原市など三河エリアは県内最大の産地で、「豊橋うなぎ」は地域ブランドにも登録されています。実は豊橋の養鰻の歴史は、一色よりも古く、明治29(1896)年ごろから(豊橋百科事典 より)。うなぎ激戦区だけあって、豊橋市内には名店がいくつかあります。
大正13年創業の『のぼりや』は、創業以来の秘伝のタレで炭火で直焼き。皮はパリッと身はふんわり、旨味豊富な“たまり”を使った風味は、関東圏の方からも大好評です。
デザートには、東海道「吉田宿」で創業280余年、豊橋市内の和菓子屋で最も歴史がある老舗『御菓子所 絹与』の絶品「あずきアイスバー」!羊羹と最中には、素材の風味を生かすべく、北海道産小豆からじっくりと手間ひまをかけて丁寧に炊き上げた自家製餡を使用。昔ながらの銅鍋で木ベラで餡を炊いています。その丹念な工程を拝見するだけでも、味の吟味のほどが伝わってきます。もちろん、自慢の練り羊羹〈今宵の友〉などお買い物もしっかり。
ヤマサちくわ本店のある魚町へ。その名の通り活気あふれる魚市場として賑わった場所。現在でも老舗の食料品店が軒を連ねます。今から450年ほど前、伊良湖から東海道新居の宿にいたる片浜十三里の海で獲れた魚は、必ず豊橋(吉田)の熊野権現神社境内で売り買いしなければいけないと決められたことから、豊富な海の幸の集荷場として栄えました。
安海熊野社は、室町時代に盛んだった能楽の拠点でもあり、能面・狂言面と装束等360点を所蔵、市指定文化財や県指定文化財となっています。これは明治になった時、地元有志(ヤマサちくわ含め)で出資しあい、吉田藩主大河内家が所有していた能衣装や面を買い取って地元に貸し出してきたものだそうです。
豊橋の台所として、食にこだわる方々に評判のスーパー『サンヨネ』にも立ち寄り、お買い物。生産者と向き合い、協働することで、より食の提供に尽力されています。
豊橋観光コンベンション協会会長のドライバー兼ガイドにて、吉田宿の歴史を紐解きながら、愛知県豊川市にある曹洞宗の寺院 豊川閣妙厳寺『豊川稲荷』へ。日本三大稲荷のひとつに数えられ、商売繁盛のご利益で全国的に知られています。豊穣への感謝とともに御朱印もいただきました。門前にはヤマサちくわ直営店もあります。
今回の特別企画は、自分でオリジナルちくわや揚はんぺんを作るという体験!『ヤマサちくわ豊川インターちくわの里』へと向かいます。まずは初参加者のために、佐藤社長がヤマサちくわとちくわの歴史、美味しさの秘密についてレクチャー。そしていよいよ、佐藤社長、佐藤副社長の“ちくわブラザーズ”による職人の手仕事を直伝で学びます。
職人と同じように、付け出刃を用いて、生のすり身からちくわ巻きに挑戦しました。見るとやるとでは大違い!柔らかそうに見えてなかなかアシ(コシ)のあるすり身に、悪戦苦闘。なんとか形にしたい!GEN-Bの食べ物への執念がそうさせるのか(笑)、類を見ないド根性を見せて、なんとか形成完了!炭床でくるくる回しながら焼き上げて、そのまま齧りつきます。大奮闘のご褒美に缶ビールも提供、自作ちくわとの一杯は最高でした!
この日は、多種の具材や調味料を用意し、お客様の感性で練り合わせたオリジナル練りものも作ってみました。これまた楽しい!2種類ずつこしらえ、自分で手取りをして、揚げたてをいただきました。
一旦ホテルに戻り、一息ついた…と思いきや、そうです!夜は『広小路でんでん』にてお待ちかねの懇親会です。おなかの空く間がないほど!駅前から歩いて向かいます。この店ならではの旬盛りだくさんの一皿や東三河の食材、味噌料理などなど、おすすめの地酒とともに一献となれば、“別腹”が作動するGENBIANS。まるごとのユメカサゴも、さっぱり風味の青じそうどんまで完食!お酒も会話も進み、楽しく盛り上がりました。
豊橋市内は、あいにく夜半からかなりの雨が降り、当日の天気予報も芳しくありません。「稲刈りができるのか?」と不安を持ちながら、ホテルへ皆さんをお迎えに。現地の状況次第では中止の可能性もあるため、急遽ヤマサちくわ本社工場に立ち寄り、できたての〈半月〉を試食するイベントが組み込まれました。
サメと山芋を原料に作るヤマサちくわ独自のロングセラー商品で、その独特の食感の製法の秘密を佐藤社長のレクチャーとともに味わいます。細やかな気泡を含むふわふわの仕上がりは、まさに職人の手技の極み。まだあたたかい〈半月〉の自然の甘みと、軽やかな舌溶けに、皆さん「やさしーいおいしさ!」と笑顔がほころびます。前日自分たちで手作りしたちくわとの差を感じるために、追加で焼きたて特選ちくわも試食。「うーん、やっぱり違う!」と正直な感想に、皆頷きました。
そこに現地からの朗報が!なんと四谷千枚田では、幸いにもほんのわずか雨に湿った程度で、無事に稲刈りを敢行することがでそうと!さあ、はりきって出発です。
途中『JA愛知東グリーンファームしんしろ』に立ち寄り、旬野菜を吟味してお買い物。出始めの八名丸(やなまる)里芋は、生産発祥地である旧八名郡八名村(現在の新城市一鍬田地内)の地名と丸い形から、昭和20年ごろに命名された里芋で、新城市の特産品。あいちの伝統野菜のひとつです。 粘りが強くやわらかで、もっちりホクホクの食感が格別。このツアー後に開催されたGEN-Bイベントでも、メニューに登場しました。
予定より一時間遅れで到着した四谷千枚田は、棚田の稲穂が黄金色の波のように美しく、まるで絵本の世界。その一方で、年々深刻化する無残な獣害の跡や、心無い観光客の行動など悩ましい現実についても、『鞍掛山麓千枚田保存会』小山舜二会長が切実に語ってくださり、保存活動のたいへんさと大切さをあらためて痛感しました。
長靴に履き替え、まだまだ夏のように湿度も気温も高い中、秋の実りの収穫に汗を流しました。稲刈りの様子はこちらをご覧ください。
稲刈り、ハザ掛けと、一所懸命連携して働いた後は、おなかぺこぺこに!一級河川豊川の上流、寒狭川岸沿いにある奥三河のドライブイン『設楽観光ヤナ 八雲苑』で昼食です。手作りにこだわったわらじサイズの大きな五平餅、姿よく焼き上げられた鮎をいただきました。
「簗(やな)」とは、石や竹などで川の流れを堰き止め、そこに木杭や竹で組んだ「すだれ」のようなものを置いて、川を下る魚を獲る伝統漁法です。シーズンには鮎のつかみ取りも楽しめます。店から直接川に降り、清流に足を浸すと、すうっと爽やかな涼感に包まれました。
食後は設楽町田口の『関谷酒造』へ。元治元年(1864年)に創業、〈蓬莱泉〉の銘柄で知られ、自家精米にこだわり、酒米の栽培から手がけるなど、丁寧な酒造りで人気の酒蔵です。ここでは稀少とされる純米大吟醸〈空〉の小瓶が買えるとあって、皆さんのリクエストで毎回立ち寄ります。
お買い物も楽しんだ後は、ゆったりと流れる“奥三河時間”を満喫してもらおうと、『東栄町 体験交流館 のき山学校』に向かいます。懐かしい風情の木造校舎内には、『Caféのっきぃ』や、『のき山文庫(東栄町図書室)』、木製の遊具部屋などがあり、子供から大人までのんびりと過ごすことができます。
理科室をリニューアルした『Caféのっきぃ』では、自家製のスイーツやドリンク、給食に見立てたランチプレートなど、懐かしい時間が蘇ります。校舎の周りのチェンソーアートも、奥三河ならではのアート。すっかりくつろぎました。
さて、いよいよツアーの締めくくりは、この地域に息づく伝統芸能の郷へ。しばしの山間ドライブです。
愛知・奥三河の豊根村・東栄町・設楽町には、国の重要無形民俗文化財に指定される700年以上続く伝統芸能「花祭り」があります。毎年11月から1月にかけて各地区で開催され、鎌倉時代から代々親から子、子から孫へと大切に伝承されてきた神事です。およそ40種類にもおよぶ舞が夜を徹して行われ、舞手と一体となって「て~ほへ、てほへ」の掛け声とともに盛り上がります。
この伝統芸能の宝庫、愛知県奥三河を拠点に活動するプロの創作和太鼓集団が『志多ら』。東栄町の東薗目にある稽古場兼合宿所を、佐藤社長のご案内で特別に見学させてもらうことができました。
代表 大脇 聡さんに活動についてご説明をいただき、稽古場へ。廃校となった旧東薗目小学校を借り、メンバーも移住して生活を共にしています。ずらりと並ぶバチ棚は圧巻。贅沢なことに、目の前で演奏を披露してくださいました。
しんとした静けさに包まれた後、厳かに繰り出される太鼓の響き。次第に迫力が増しゆくバチさばきに、一同息を飲み聴き入ります。時に宙を舞う躍動感に、拍手喝采!一転して微かな音の連続が続く演目では、そのキープ力に日頃の鍛錬が伺われ、静かなる感動を覚えました。
感動的な演奏の後は、実際に大太鼓にチャレンジさせてもらうなど、初めての体験も。太いバチを操るのは容易ではありませんね。
意外にも東栄町出身者は元さんが唯一で、愛知県出身は宮﨑光政さん。布施洸芽さんは神奈川県、坂本奏弦さんは東京都、福家さくらさんは香川県のご出身とのことでした。こうして地域の人々や祭りに根ざして活動することで、生きた文化の礎にふれ、伝統を受け継ぎながら新たな文化を創造しています。
脈々と受け継がれる地域の伝統文化を、肌で感じさせてもらえる貴重な体験となりました。志多らの皆さん、ありがとうございました!
さて、一気に駆け巡った秋の日のGEN-Bツアーいかがでしたでしょうか?熱烈なリピーターの方も多く、毎回楽しく盛り上がり、充実した内容で三河食と文化を満喫しています。
この新城市四谷千枚田の田植え・稲刈りツアーの趣旨は7代目佐藤社長曰く、
① | 日本の原風景素晴らしい四谷の千枚田を無くしてはいけない!という思いで、少しでも田んぼをお借りして稲を作ろう!皆さんと田植えや稲刈りを楽しもう!そしてより多くの人に知ってもらおう! |
② | 四谷千枚田のお米、無農薬はざ掛け米が美味しいからやめられない!という食いしん坊精神 |
③ | 田植え・稲刈りにあわせて、わが故郷豊橋ほの国東三河の美味しいもの、良さを知って欲しい!という、食いしん某GEN-Bしか企画できない内容を提供したい(もちろんヤマサちくわの秘密も少しづつご紹介したい) |
以上の目的で開催しています。引き続き、ちくわとともに2025年も楽しい企画を練りに練ってご用意しています。ぜひご参加ください。
『日本の棚田百選』の中でも白眉と言われる愛知県新城市北部に位置する鞍掛山(くらかけやま)の麓に広がる、美しい石積みの棚田・四谷の千枚田。ヤマサちくわでは、この稀少な棚田保全活動への参加として、毎年の田植え・稲刈り体験の機会を設けています。奥三河観光と渥美半島の美味しいもの巡りとあわせて、皆様のご参加、棚田への支援をお待ちしています。
田植え・稲刈りツアー以外にも、楽しく学びも深める食事会や交流会、見学会などを企画・開催しています。GEN-Bの会への参加に特別な資格や年会費は必要ありません。しいて言うなら、「食いしんぼう精神と好奇心!」。ぜひぜひお気軽にご参加ください。