活動レポート

第2回 名古屋『豊・食・人 GEN-B』交流会

「190余年、三河で続く、昔も今も変わらぬ”うまさ”の秘密」

開催日 2019年6月22日(土)
場所 名古屋調理師専門学校レストラン実習室
名古屋市東区泉2丁目1-28 Viare Storia302
お話 ヤマサちくわ株式会社
七代目 代表取締役 佐藤元英
https://yamasa.chikuwa.co.jp/

初夏の名古屋でふたたび開催! 愛知の食の“つくり手”“つたえ手”も参加。

 四方を豊かな海に囲まれた島国に暮らしているからこそ、知っておきたい日本古来の魚食文化・練りもの文化。その魅力を、食やものづくりの担い手である参加者の皆さまと、ともに学び合い、語らい、次の時代・世代へとつないでいきたい。そんな思いで開催をしている「豊・食・人 GEN-B」交流会。名古屋では約1年ぶり、第2回目の開催となりました。

 会場は、次世代の料理人を育成する名古屋調理師専門学校 。同校とヤマサちくわ株式会社佐藤元英社長は、学生・一般向け講座の開催等を通じて交流を重ね、この交流会も先生方より細やかにサポートいただき、実現することができました。

 今年5月に発行されたミシュランガイド2019 愛知・岐阜・三重特別版では、一つ星2店、ビブグルマン2店、ミシュランプレート6店と、同校卒業生が料理人として活躍するお店も多数掲載されました。おめでとうございます!先輩方のご活躍は、何よりもの励みになりますね。

 交流会当日、レストラン実習室を併設した厨房設備をお借りし、ヤマサちくわ直営おでん専門店『広小路でんでん』山下隆之総料理長の指揮のもと、炭火焼、配膳チームとともに、佐藤元英社長や佐藤善彦常務も慣れた段取りで仕事を分担。

 たっぷりの昆布でひいたおだし、新鮮なすり身、ほうろく菜種油で揚げたふっくらはんぺんは、なんとお稲荷さんになるとのこと!多彩な愛知の食材と “本物”にこだわった油や調味料、ヤマサちくわの限定品など、夏らしい彩りと風味を生かした特別メニューで、名古屋GEN-Bの皆さんをお迎えします。

 旬のイチジクは、ちくわの皮を巻物にした巻子(かんす)竹輪でくるりと巻き、お洒落なピンチョスに。豊橋の特産物青しそを使ったオリジナルの調味料青じそオリーブオイルも夏らしい一皿に加わります。

 参加者の皆さんが全員が揃ったところで、交流会の発起人『こめみそしょうゆアカデミー』おかみ・堀田雅湖さんがご挨拶。続いて佐藤社長が、「創業192年、私で7代目です」と自己紹介し、 “GEN-B(げんび〜)”の由来について説明されました。

 「食いしんぼうとか、いやしんぼうとか、昔はあまり良くない意味で言われた三河の古い方言ですが、私も元英という名前の字から“ゲン”と呼ばれていたので、親しみをこめてGEN-Bと名付けました」。
 頭に手ぬぐい、屋号入りの前掛け姿の佐藤社長に、「魚河岸の大将かと思った!」「東三河人らしい気さくな社長さん」と初参加の皆さん。三河弁でのレクチャーに、会場もなごやかほっこり。

 スライドを使って、まずはヤマサちくわ本店のある豊橋市魚町の歴史をご紹介。天文22年(1553年)、今川義元の命により伊良湖〜東海道の新居宿に至る片浜十三里で捕れた魚の売り買いを安海熊野社(やすみくまのしゃ)の境内で許されたことから、この地に魚問屋市場が開創されたそうです。

 当時魚問屋を営んでいたヤマサちくわ株式会社創業者 佐藤善作氏が、市場の仲間と四国の金毘羅参りに出かけた折りに見つけたのが、名物として売られていたちくわ。味もよく、これを海産物豊かな三河でもつくってみようと研究が重ねられました。

 当時、ちくわの販路には塩を運んでいたルート「塩の道」が使われ、海産物の乏しい信州へも運ばれていました。その際に保存の知恵として生み出されたのが、“塩漬けちくわ”。これが豊橋のちくわ発展の源となりました。

 講座の間、皆さんには「ちくわ煎餅の豆腐アボカドディップ」を召し上がっていただきました。パリパリサクサクの食感が、クリーミーなアボガドとよく合います。メキシコのワカモレとナチョスの感覚で、お酒のスナックとしてもおすすめ。

● 今回のメニューの一部は、当サイト 「旬の料理帖」でレシピを紹介しています。ぜひご覧ください。

ちくわを知る・つくる・焼く・熱々を食べる! そのライブ感でさらに盛り上がる、名古屋GEN-B。

 佐藤社長によるちくわ成型の実演では、皆さんカメラやスマホを構えてスタンバイ。なめらかにかろやかにすり身を扱いながら、包丁に竹の棒をあてがうと…するするくるくる、あっという間に見事な巻物形に。
 「ようし、我も!」と次々に挑戦者が手を挙げるも、「すり身の弾力がこんなに強いなんて」「社長のようにきれいに巻きつかない…」と悪戦苦闘。佐藤社長が二人羽織のように手取り足取り!?で指導する場面も。この職人技が、ヤマサちくわ独自の高度な自動化技術にも緻密に活かされているのです。

 いよいよお待ちかねのお食事会。初夏の宵、冷たいビールやハイボールで、まずは喉を潤して。白瓜と鮃の昆布〆や揚げたはんぺんの稲荷寿司、めんたい蒲鉾など、旬の素材と練りものを盛り合わせた前菜に、一同笑顔がほころびます。

 山下料理長自ら、お料理についてひとつひとつご説明。その間も、せっせと休みなくちくわを仕込み続ける佐藤社長…(笑)。

 名古屋交流会では、東海地区の調味料・食材等のメーカーや生産者さんも多数ご参加。お料理などのプラスワンにもご協力いただきました。たとえば…おでんのだしには日東醸造株式会社様の「白たまり」(愛知県碧南市)、揚げ物には株式会社ほうろく屋様の「ほうろく菜種油」(愛知県西尾市)、また、カンボジアの伝統的農法で栽培されたKURATA PEPPER様の「完熟黒胡椒」は、お料理にはもちろんのこと、なんとハイボールにも!「香りが格別」「コレはハマる!」と大好評でした。

 いずれも、経済性を優先する市場に疑問を持ち、「これぞほんもの!」と誇れる良質のものづくりを追求し、舌の肥えた方々にも太鼓判をいただく“Genbian”ばかり。各テーブルで、食に関心の高い皆さんとコアな話題でおおいに盛り上がった様子でした。

 夏が来たとはいえ、やっぱり皆さんおでんが大好き!自慢のおだしに、ヤマサちくわの「えそ醤油」とすっきりとした甘みの「白たまり」。さらに鮮度にこだわった練りものからの魚のだしも相まって、う〜ん、箸休まらず…。

 一方厨房では、40名様分のお料理を、向山登校長、平岩佐智子教授も助っ人で盛り付け。手際の良さとセンスもさることながら、あ・うんの呼吸感はさすが!

 GEN-Bの会「心からのおもてなし」は、現在名古屋栄三越でも限定販売されているほうろく菜種油で揚げた「ヤマサころっけ(かに・ほたて)」「いかと野菜のかき揚げ」と、ボリューム満点!国産菜種を使用、天日干し、伝統のほうろく釜でつくられる薪火焙煎・圧搾一番搾りの油は、さらっと香ばしく揚がり、オレイン酸・ビタミンEも豊富とのこと。すり身の甘さが引き立ち、そのまま何もつけずにパクパクいけちゃいます。

 お待ちかねは、自分で焼く「炭火焼ちくわ体験」。テーブルごとに順次焼き場に移動し、指導を受けながら“マイちくわ”をくるくる…。ここでも三河みりんが良い仕事をして、こんが〜りおいしそうなきつね色に。愛知の豊かな醸造文化もまた、おいしいちくわづくりを支えています。

 片手にグラス、片手にちくわで、初めての方とも和気藹々と。ふくれてきたら穴を開けて、手を止めずに回し続けるのがコツです。焼き上がりは、縦に細かいちりめんジワが浮かんできたら大成功!みなさん童心にかえって楽しんでいただきました。

 あちこちで、焼きたてちくわをガブリ!「香ばしくておいし〜い」。熱々を頬張った瞬間にこぼれるGEN-Bな笑顔が、この会ならではの最高のごちそうかもしれません。

 サラダには豊橋キャベツ、カッペリーニのソースには青じそ、デザートにはカラフルなミニトマトと、いずれも豊橋産。温暖な気候のもと、糖度の高い野菜が多くつくられています。

 宴の締めくくりには、学校施設を開放し、準備から細やかにサポートをしてくださった向山登校長、平岩佐智子教授からもご挨拶。メーカー、生産者、料理家、そして指導者など食に関わるさまざまなエキスパートが一堂に会する機会器とても貴重です。
 会の終わりには、参加者の皆さん率先してアンケートにもご協力いただきました。

 こうした機会を通じてここ愛知でもさらに交流が広がり深まるよう、ご意見やご提案を今後の企画にも活かしてまいります。
 ご参加、ありがとうございました。

 参加者へのおみやげは、ヤマサちくわ「特選ちくわ」レシピ付き「オリジナル調味料」セット


自然農薬・自然肥料を使ったカンボジアの伝統的な農法にこだわり、1997年より胡椒を自社農園で生産、販売しています。

純国産原料と化学薬品不使用 伝統製法にこだわり、安心して食べられる本物の菜種油を製造しています。

琥珀色の醤油「しろたまり」をはじめ各種たれ・つゆの製造販売。


● ヤマサちくわ オンラインショッピング

● 豊・食・人 GEN-B facebookページ


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