活動レポート

第3回 あいち/名古屋「豊・食・人 GEN-B」交流会 in 碧南

「三河の旨し食材と醸造を生かした、老舗の温故知新を味わう」

開催日 2020年9月26日(土)11時〜14時終了
場所 日本料理 小伴天 2階
愛知県碧南市源氏神明町 256
http://www.katch.ne.jp/~kobanten/kobanten01.html
お話 ヤマサちくわ株式会社
七代目 代表取締役 佐藤元英
https://yamasa.chikuwa.co.jp/
ゲスト 常滑『白老』澤田酒造株式会社 会長 澤田研一様

満を持して万全を期して、ゆったり開催 いちじくと醸造のまち・碧南ならではのおもてなし。

 ようやく暑さも落ち着き始め、食指も動き出した秋分の頃。新しい生活様式の中でのリアルイベントとしては、2020年初の「豊・食・人 GEN-B」交流会が、愛知県碧南市にて開催されました。

 愛知県の中南部に位置する碧南市は、西は衣浦港・南は三河湾に面し、うなぎや海産物はもちろん、国内屈指のいちじく産地でもあり、伝統野菜や畜産など、良質な食材の宝庫。さらには三河みりん、白醤油、豆味噌、酒など、伝統ある醸造の地としても知られています。

● へきなん観光ナビ(碧南市観光協会)


 今回の会場となったのが、大正9年(1920年)創業の老舗日本料理店『小伴天』。愛知県碧南市棚尾町にて鰻専門店として始まり、現在もうなぎ料理はもちろん、季節の会席料理や夏限定の「いちじく会席」など、豊かで新鮮な三河の食材を大切に使い、伝統の技を生かしたお料理で、地元もとより遠方からのお客様も多い名店です。

「あったかふる里 母の味 母さん手縫いの小伴天」
 お店に来られたお客様に、小さな伴天(半天/半纏)を着たような温かい気持ちになっていただきたいという思いが、店名に込められているのだそうです。

 先代は伝説のTV料理番組『料理の鉄人』でフレンチの坂井宏行シェフと対戦。日本料理で真空調理法を確立した店としても広く知られています。長男・長田勇久氏は、現在『小伴天はなれ 日本料理一灯』の店主/料理長として、次男・健太氏が小伴天店長/料理長、三男・英三氏がうなぎ部門料理長としてご活躍です。
 2019年ミシュランガイド愛知・岐阜・三重特別版では、両店舗ともにミシュランプレートに選ばれました。

 東海地方ではおなじみの豊橋名産「ヤマサちくわ」ですが、今年はNHK連続テレビ小説『エール』の舞台として、豊橋が全国的にも注目され、ドラマ中でおいしそうにちくわをまるかじりするシーンが話題に。
 ヤマサちくわでも、主人公のモデルとなった作曲家・古関 裕而(こせき ゆうじ)の故郷、福島とのコラボレーションを積極的に展開、オリジナル商品を発売するなど、ちくわを通してエールを送り、ドラマを盛り上げてきました。

 今回のGEN-Bでは、そんな旬の話題、撮影ロケの裏話等とともに、ヤマサちくわに伝承される先人の保存や加工の知恵の話、食のしきたり、風土や文化等に触れていただくとともに、初の西三河開催としてヤマサちくわの練りものを活かしたお料理をご用意いただきました。

 また、お料理に合わせて、お酒は常滑市『白老/澤田酒造』より、澤田研一会長、澤田薫社長にこの秋ならではのラインナップを厳選していただきました。ひやおろしをはじめ、特にちくわなど練りものや味噌おでん、焼き魚に合う、淡麗ながら旨みしっかりの辛口特別純米酒カワハギラベルや、2020年の白老梅ヌーボーも登場。

  <東三河>のヤマサちくわ、<西三河>小伴天の日本料理、お酒は<尾張>澤田酒造の白老と、愛知県内でもなかなか実現できない越境コラボは、まさにGEN-B(げんび〜=食いしん坊)ならでは!
 参加者の皆さんも、地元碧南や豊川などの三河はもとより、名古屋、瀬戸、そしてお江戸からも、多方面から「待っていました!」と楽しみに駆けつけてくださいました。
 万全を期して「新しい生活様式」のもと、ゆったりとした大広間にてソーシャルディスタンシングを確保し、席次にも配慮しての開催。お店側にも参加者の皆さまにも、“何かとお願い事の多い事務局”にご理解、ご協力をいただきました。

ちくわや練りものの原料となる「すり身」 加工品ではなく、魚料理としての味を追求。

 初の碧南市開催、まずはヤマサちくわ株式会社 七代目佐藤元英社長のお話からスタート。ちくわの由来をはじめ、日本の魚食の豊かさ、「鉛は金に変わらない」というヤマサちくわの“ほんもの”を追求する姿勢やこだわりの製法、すり身の違いなどについて解説。練り製品は魚の身に塩を入れてすり潰すことで、筋原線維たんぱく質が溶けて複雑に絡み合い、魚の水分を安定させるため、元来は腐敗しにくく日持ちがするものだったそうです。

 また、両端の白いちくわは、ヤマサちくわが発祥という“真実”に、会場からどよめきも。「香ばしいきつね色の焼き色は、碧南の三河本みりんを使っているから。ちゃんとした良いみりんでないと、この色や照りは出ないんですよ」と佐藤社長。愛知に伝わる「ほんもの」「良いもの」を大切に使い、他の地方にはないオンリーワンを作り発信していく大切さを学びました。

 レクチャー後、お待ちかねのお食事・交流会では、碧南市の禰冝田政信市長より、ご挨拶と乾杯の音頭を賜りました。

 日本酒カウンターでは、常滑市『白老』澤田酒造株式会社 澤田研一会長自ら、旬のひやおろしをはじめ、碧南で自然栽培された酒米「雄町」の限定酒など7種類ものお酒をご提供くださいました。
 【2020年産】白老梅ヌーボーも大人気。その年に収穫された梅の実から出来上がったばかりの梅酒の新酒で、江戸時代のレシピにこだわって作られた限定酒です。

愛知の醸造文化がもたらす豊かな味わい 東三河と西三河「おいしいとこ取り」を堪能。

 お食事は、東三河の代表的存在であるヤマサちくわの練り物に、西三河の伝統的な発酵調味料などをあわせた、三河ミックススペシャル。
 小伴天といえば・・・のいちじくとヤマサちくわのコラボレーションをはじめ、ご当地碧南の角谷文治郎商店 の<三州三河みりん>、豊橋・國松商店 の< 濱納豆>や<ほうろく菜種油> 、日東醸造<三河しろたまり>、はと屋 の<豆味噌>などなど、愛知・三河の食材、調味料がふんだんに用いられた内容。

 口取り6種には、小伴天の名物でみりん、白たまりで炒り煮した赤車海老の串と鰻巻きや、ヤマサちくわの旬の<ふわふわ栗たまご>、新商品のクラタペッパーの黒胡椒を練り込んだ<黒胡椒豆>も添えられました。

 今回、長田料理長からの依頼でヤマサちくわが特別に作った<信田巻き>は、旬の松茸、銀杏とともに土瓶蒸しに。また、<えそ醤油>でヅケにしたさわらのお造り、三河赤鶏としろちくわにいちじく×赤味噌という取り合わせが特に新鮮で、こっくりとした純米酒との味わいにみな舌鼓を打ちました。

 お楽しみはやっぱり、佐藤社長・常務による“ちくわブラザーズ”のちくわ巻き実演。鮮やかな包丁の技で竹に巻かれたちくわを、炭火で直に焼く体験は、マスクをしながらのゆったりペースで、楽しんでいただきました。

 ちくわ専用の焼き台も、いつもより間隔をあけて、ご友人、ご家族、ご夫婦、この日出会った方々と。マスク着用でコロコロ転がしながら、こんがり焼けていく匂いと色をチェックしあうのも楽しいひととき。

 焼きたてをはふはふしながらいただくと、やっぱりいつものように皆さんニコニコになっちゃいますね。

こだわりの生産者ネットワーク 多彩なつくり手、つたえ手の参加者が一堂に!

 今回のGEN-Bでは、日本・愛知が世界に誇る注目の生産者さんが多数参加してくださいました。


純粋菜種焙煎工房 ほうろく屋・杉崎学さんと
日東醸造株式会社・蜷川洋一さん。

カンボジアの胡椒産業の復興に力を注ぐ
クラタペッパーの倉田浩伸さんも、ベッパーミル持参で参加

 さらには、料理研究家、ホテルマン、医療関連、書家、デザイナー、カメラマンと多彩な職種の方々にお集まりいただきました。瀬戸の陶芸家さん達のテーブルでは、手持ちの酒器を並べて「釉薬の違いでお酒の味を飲み比べ」といった興味深い楽しみ方も。GEN-Bらしい探究心と、自由で和気藹々とした雰囲気にあふれた交流会となりました。

 お食事の締めは、やっぱり小伴天名物の「うなぎ」です。炭焼きひつまぶしに添えられたお吸い物には、ちくわ。「もう満腹〜」といいつつ、香ばしくふっくらと焼き上げられたミニ丼の魅力には勝てません。
 デザートにもしろたまりや三河みりんが用いられ、愛知の調味料を知り尽くし、使いこなす同店ならではの地元愛に溢れたコースを堪能しました。

「熱々のちくわを皆んなで頬張れるなんて幸せ!」「焼きたてはやはり格別」
「練りものはあまり得意ではなかったけれど、ちゃんと作ったものは美味しいんですね!」
「練りものが、こんなに美味しくアレンジできるなんてびっくり」
「どれも美味しくて、箸が止まりませんでした」
「練りものがメインになったり、サブになったりと、七変化がおもしろい!」
「学び、美食、美酒、楽しいお喋り、新しいご縁・・・楽しくてあっという間のひとときでした」
と、さまざまなご感想をいただきました。

 バラエティに富んだちくわや練りものを、愛知の食材や伝統の調味料とともに日本料理に活かす。
「たくさんのアイデアが浮かび、決めるのに一苦労でした」
と、多彩な試みにチャレンジしてくださった長田健太料理長。

 佐藤社長の「東三河×西三河×尾張のコラボイベント、碧南の皆様に支えていただき実現しました。ありがとうございました」というご挨拶で、ステイホームからの久々の楽しい宴も、無事おひらきに。

 参加者の皆さんには、この日のお料理でもふんだんに使われたヤマサちくわの<えそ醤油>と、米・魚・豆の自然の風味を活かしたスナック<ちくわあられ>、そして「白老」のアンティークなお猪口をおみやげとしてお持ち帰りいただきました。

 今回のGEN-B交流会では、いずれも創業がヤマサちくわ190余年、澤田酒造170余年、小伴天100年と、さまざまな時代を乗り越え、今日まで存続する愛知屈指の老舗によるコラボとして実現することができました。
 先人のさまざまな知恵が、おいしく楽しく、私たちの健康と豊かな人生を支える糧となるよう、これからもGEN-Bとして前向きな交流をめざしていきましょう!


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●「美酒蔵 はなたれ屋」


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