メタ・バラッツ/アナン株式会社
オンライン料理教室×ヤマサちくわ〔コラボ特別授業〕開催日 | 2022年6月11日(土)10:00〜11:30(約90分) |
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講師 | アナン株式会社三代目 メタ・バラッツ http://www.e-anan.net/ ヤマサちくわ株式会社 七代目 代表取締役 佐藤元英 https://yamasa.chikuwa.co.jp/ |
配信 | ZOOM (各自PCまたはスマートフォンからご参加) |
場所 | アナン株式会社 神奈川県鎌倉市極楽寺2丁目6-14 |
鎌倉で1954年に創業。スパイス商として世界中の100種類以上のスパイスを扱う『アナン株式会社』。本格的なインドカレーが自宅で手軽に楽しめる<カレーブック>をはじめ、スパイスの効能や文化について広く伝える活動をしています。
メタ・バラッツ氏は、同社の三代目として世界中のスパイスの販売やオリジナルブレンドのスパイスをプロデュース。また、スパイスの面白さを伝えるため料理教室などで全国を飛び回り、“東京スパイス番長”の名でも知られています。
スパイスとは、もともと “南からきた宝物”という意味があるそうで、バラッツ氏は、その宝物を使いこなし、「スパイス・マジック」で日本の食材の新たな魅力を引き出し、日常の食卓をより豊かにしてくれる「スパイスの伝道師」。そのバラッツ氏が主宰するスパイス講座は、毎回使い切りのスパイスキットを使う手軽さもあって、大人気です。
ヤマサちくわとのコラボのきっかけは、2021年。ヤマサちくわでは、同社直営のおでん専門店『広小路でんでん』の総料理長が考案するこだわりの創作おでんが月替りで楽しめる<でんでんおでんの会>が好評で、バラッツ氏のスパイスを活かした<鎌倉スパイスカレーおでん>(2022年6月販売)のコラボ企画が立ち上がったことに始まります。
バラッツ氏の美味しいスパイス料理を、使い慣れた自宅のキッチンで学べるリモート講座は、毎月大人気。今回の〔コラボ特別授業〕では、32名の方にご参加いただきました。メニューは、「南インド風おでんカレー& ちくわのアチャール」の2種類。参加者のご自宅には、事前に使用するスパイスキットと、ヤマサちくわ、はんぺんが届けられています。
当日は、七代目佐藤社長も前掛け姿で豊橋市のご自宅にてスタンバイ。リアルタイムでの参加となりました。
【スパイスA】 | シナモン/カルダモン/マスタードシード/フェネグリークシード/フェンネルシード |
【スパイスB】 | ターメリック/コリアンダー/レッドペッパー/ブラックペッパー/カシミリチリ |
【スパイスA】 | マスタードシード |
【スパイスB】 | コリアンダー/レッドペッパー/ターメリック/ヒング/カシミリチリ |
本番では、食材をカットしながら調理を進めていきます。
まずはご挨拶とスパイスキット・材料の確認から。
「2021年の夏にバラッツさんにスパイスについてお話しいただいたのですが、実際に試食をしてみて、香辛料の風味の豊かさにびっくり!すっかり魅了され、今回のコラボ企画となりました」と佐藤社長。
今回は、ちくわとはんぺんを使うことから、インドの中でも魚をたくさん食べる「南インド」の風味を生かしたカレーをベースにココナッツミルクで仕上げる夏らしいおでんカレーを作りました。
「南インドを代表するカレーにケララカレーというのがあるんですが、インド最南部に位置するケララ州はスパイス原産地としても歴史が古く、また“ココナッツの国”とも言われ、様々なココナッツ料理があります」とバラッツさん。
チャイニーズフィッシングネットという独特の漁法や、南インドと北インドの食文化の違いなど、興味深いお話に耳を傾けつつ、調理の準備が進んでいきます。
スパイスカレーはスパイスの香りをどう引き立たせるかが、いちばん大事なポイント。スパイスの形状によっても、その方法は異なります。
風味の土台となるホール状のものは、加熱することでまわりのエッセンシャルオイルが揮発し、香りのもととなるので、熱した油に香りを移していく「テンパリング」という方法が用いられます。
「火加減は比較的強火なので、少し分厚めのフライパンや鍋がおすすめですね。基本はカルダモンやシナモン、マスタードシードなど大きめのものから入れていきます」とバラッツさん。微妙な火加減も、「パチパチ」という音やしゅわしゅわと泡立つ様子を見聞きしながら調節できるところが、オンライン講座の魅力です。
スパイスカレーの基本となるスパイス、パウダースパイスを入れるタイミングや、「スパイスは味ではなく香りが主体(味は塩など)」といったスパイスの役割についても、作りながら識ることで身につきやすいのではないでしょうか。
「スパイスカレーは、➀ 香りの土台となる油に移すスパイス、➁ 風味づくりのスパイス、➂ 仕上げに香りを閉じ込めるスパイとしいうように、“香りのサンドイッチ”をイメージしてそれぞれを活かして作っていくことが多いんですよ」という教えが、とても印象的でした。
カレーに投入する際、「はんぺんもちくわも、このまま食べたいですよね(笑)」という一言にスタッフも参加者も頷いていました。レシピでは1/2カットのはんぺんですが、弱火で煮込むうちにどんどんふわあっとふくれ上がってきます。
画面を見てすかさず佐藤社長が、「ちょっと大きいですね〜もう半分ぐらいの大きさに切らないと。我が家のおでんでもよくそういう風になっています(笑)」とアドバイス。
「山芋などの粘る素材を入れたり、練る時に気泡を包み込むようにしてふわっとさせているんですが、熱によって中の空気が膨張することで大きくふくらむんです。冷めればまた小さくなります。魚のすり身にいかに上手に気泡を混ぜ込むかが技術なんですね」。
「歯がなくても食べられる」というやわらかさ。高齢者の嚥下食や離乳食にもおすすめとのことでした。
カレーの付け合わせとしてもおつまみとしても楽しめる副菜の「アチャール」。“インド版のお漬物”と紹介されることが多いのですが、インド南部からヒマラヤ山脈を越えてネパールまで、10日間で250種類を食べ比べて旅をしたバラッツ氏によると、「地域によって実に様々な素材、種類、解釈があり、私もよくわからない」と。「食べ歩いてわかったことは、世の中にはアチャールと呼ばれているものと呼ばれていないものがあるということ(笑)」だそうです。
今回は、そのアチャールを「豊橋名産のちくわで作ってみよう!」という試み。こちらも基本のスパイスは、ターメリック、コリアンダー、レッドペッパーの王道3種。そこに、独特のにおいを放つことでヨーロッパでは嬉しくない異名を持つ「ヒング」をプラス。熱を加えることで風味が良くなり、料理の旨みをぐんとアップしてくれるのだそうです。これはぜひとも使いこなせるようにならないと!
スパイシーな香りが立ち込めて、ちくわがおいしそうな色に仕上がっていきます。佐藤社長のご家庭でも、「おかずが何もない時はちくわの唐揚げを作る」とのこと、新たなレパートリーに加わりそうですね。
時間内に一通り仕上がったところで、バラッツさんから「今回のコラボ講座は、カレーとスパイスと練りものが今後定番化するかも!という歴史的瞬間ですので、盛りつけたらぜひみなさん披露してください」と参加者の皆さんにリクエスト。それぞれの器、盛り付けで仕上がりを見せていただきました。
佐藤社長も「楽しかったです。美味しくできましたよ もう今すぐ食べたいです(笑)」と、満面の笑顔で出来上がりをアップ。
ちくわや蒲鉾の美味しい食べ方についてのご質問もあり、「常温が美味しいというのは知らなかった」「楽しかった」などのご感想をいただきました。
「今回皆さんに作っていただいたおでんカレーとは別に、ヤマサちくわ夏限定<鎌倉スパイスカレーおでん>も商品化されました。仕上がった商品を送っていただいた時、私が作ったものよりはるかに美味しく仕上がっていて驚きました!」とバラッツ氏。この夏の人気おでんにランクインされたことは間違いありません。
奥深いスパイスの魅力とヤマサちくわのこだわりの練りものとのマリアージュがこれから定番になっていくよう、GEN-Bでも様々なコラボを企画していきます。ご期待ください!