旬のひと・もの・こと特集

第6回 朝ドラ『エール』放送記念企画[対談]

株式会社リオン・ドールコーポレーション(2020.06.08)

【株式会社リオン・ドールコーポレーション】
福島県会津若松市中町4-36

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豊橋から福島へ!
現代の“リアル金子さん”リモート対談

NHK連続テレビ小説『エール』のご当地
<豊橋>と<福島>のコラボレーションが好評!

 現在全国放送中のNHK連続テレビ小説『エール』。主人公のモデル、昭和の大作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)さんは、福島県福島市出身。そしてその妻・金子(きんこ)さんの故郷は、愛知県豊橋市。ドラマでは度々豊橋名産の“ちくわ”が登場し、話題となっています。

 前半の放送では、豊橋で少女時代を過ごす音(おと)を演じる二階堂ふみさんが、江戸時代からの豊橋名産のちくわを1本まるかじりするシーンが印象的で、豊橋っ子たちは「あれ、○○○のちくわ!? 」「あの食べ方はまさに豊橋っ子!」とおおいに沸いたようです。


 このドラマの放送に先駆け、ヤマサちくわ株式会社美酒蔵 はなたれ屋では、酒どころ福島生まれの酒蔵や「米焼酎ねっか」とのコラボレーションを展開中。

ヤマサちくわ1DAY POP-UP SHOP in 京橋


 ドラマではもうひとつのご当地として注目を集める<福島>を中心に展開するスーパーマーケットチェーン『リオン・ドール』にて、5月から初の豊橋名産ヤマサちくわ商品の販売もスタート。ドラマ人気とともに、福島県内でも豊橋ちくわの人気がじわじわと上昇中!です。

○ 福島民報 2020/06/03掲載
 豊橋のちくわ 静かなブーム 朝ドラ「エール」に登場


 福島県会津若松市に本社がある『リオン・ドール』と、愛知県豊橋市のヤマサちくわの間には・・・実はドラマ以上にドラマチック!?なご縁とエピソードがあったのです!今回の旬の特集では、そんな<豊橋>meets<福島>のご当地ランデブーについてご紹介します。

豊橋市魚町で家族のように育った
ちくわ兄弟と“リアル金子さん”の子供時代。

 現在絶賛放送中のNHK連続テレビ小説『エール』の主人公、古山裕一・音夫妻のモデルとなったのは、福島県出身の昭和の大作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)さんと愛知県豊橋市出身の金子(きんこ)さんです。

古関夫妻の長男・古関正裕さんの著書『君はるか 古関裕而と金子の恋』
集英社インターナショナル


 夫が<福島>で、妻が<豊橋>。それを知った時、ヤマサちくわ株式会社七代目 佐藤元英社長の頭にまず浮かんだのが、地元豊橋での幼なじみだった小池(旧姓石田)カンナさんのことでした。
 佐藤社長のご実家は豊橋市魚町で代々続く老舗のちくわ屋さん。カンナさんのご実家は、50mも離れていないご近所で、当時は楽器屋さんでした。カンナさんの兄と佐藤社長が同級生で、佐藤社長の弟・佐藤善彦常務とカンナさんが同級生。両家の子供たちはいつも寺子屋のように机を並べて勉強したそうです。

 「カンナさんも、私も弟の善彦も、東京の大学に進学しましたが、会う機会はほとんどありませんでした。カンナさんのご両親から “福島へお嫁に行く”と聞いた時は驚きました」と、佐藤社長。

 今回の朝ドラ『エール』をきっかけに、ちくわを通して豊橋と福島のご縁が生まれ、ドラマの主人公のルーツをたどるほどに、遠く離れた豊橋と福島のつながりの深さ、親近感を覚えずにはいられなかったそうです。
 今回福島県内では初となるヤマサちくわ商品の販売を展開中の『リオン・ドール』。その経営者・小池信介氏を妻として支え、ともに事業の発展を築いてこられたカンナさんは、まさに現代の“リアル金子さん”。今回、佐藤社長の熱烈な呼びかけから、佐藤社長・佐藤常務、小池カンナさんとリオン・ドールコーポレーション商品部大沼さん・石井さん、5名でのオンラインリモート対談が実現しました。

店の裏口から自由に出入りしていた、昭和っ子。
ちくわは、「生活にとけ込んだ家庭の味」。

佐藤社長: こんちくわ!カンナさん、若いね!昔と全然変わらないねえ。

小池カンナ(以下小池) おひさしぶりです!よっちゃん(佐藤善彦常務)も!お元気ですか?

佐藤常務: 同級生の善彦です(笑)現在はヤマサちくわの生産部門担当です。


-----ずいぶんお久しぶりの再会なんですね。皆さん愛知県豊橋市のご出身、どんな子供時代でしたか?

佐藤社長: カンナさんの兄のトオルくんと私は、小学校1年生からの大親友です。うちは当時すでにちくわ屋さん、カンナさんのご実家は楽器・レコード屋さんでした。両家とも商売屋で両親が忙しく、ほったらかしにしておくと勉強しないからと(笑)週2回ほど家庭教師に来てもらい、両家を行き来していましたね。

小池: そうですね。小学校も一緒、帰宅してからも一緒に過ごす時間が多かったので、兄妹のようにともに育ったと言えますね。

佐藤社長: カンナさんの家には、いつも楽器を直している店の裏口から入って行き、台所を通って2階に上がっていくのですが、誰もいなくても勝手に上がっていましたね(笑)

小池: うちの兄妹も同じで、ヤマサちくわさんの店の裏口から入っていました(笑)

-----カンナさんにとってのちくわの思い出は?

小池: 私の家と本店が歩いてほんの30秒ほどの近所だったので、母から「買ってきて」と言われ、おつかいに行くと、白衣着た佐藤のお母さんがいらっしゃって。ヤマサちくわは、ふだんのおかずとして生活にとけ込んでいましたね。

佐藤常務: そうそう、白衣を着てましたねえ。

小池: ちくわもですが、白いはんぺんの<丸半>(現在の半月の丸いもの)もよくいただきました。それほど身近で、“うちの味”になっていましたね。

佐藤社長: 昔も今も変わらぬ・・・ですね(笑)

三河湾の魚で育った豊橋から
嫁ぎ先は、海のない福島・会津若松へ。

佐藤社長: カンナさんが結婚して福島に暮らすようになったきっかけは?

小池: 東京の大学を卒業して、都内で勤めていた頃、兄の友人に主人を紹介してもらったのがきっかけです。1990年(平成2年)に結婚し、会津若松へと嫁いできました。
都内での結婚式によっちゃんが、お祝いに花束を届けてくれたのを憶えています。

佐藤常務: 当時都内で勤めていた職場が近かったので。福島にお嫁に行くと聞いて驚きました。

-----豊橋生まれで、福島の地にすぐになじむことはできましたか?

小池: 風土や生活習慣の違いはありましたが、それを特に気にしたりする暇もなくまっしぐらにやってきて、今に至っているという感じでしょうか。
土地柄の違いのひとつに、食文化があります。ドラマの中でも裕一が赤味噌に戸惑うシーンが描かれていましたよね。魚料理も、私の子供時代は近海の三河湾で獲れた新鮮なお刺身や煮魚が、よく食卓に並びました。でも、会津若松は海のない地域。今でこそ『リオン・ドール』にも新鮮なお刺身が豊富に並んでいますが、昔は近海の生魚よりも、身欠きニシンを山椒漬けにしたものや棒鱈など塩干物を使った料理が中心でした。そうした山間地ならではの会津の魚食文化に、私も自然になじんでいき、今は大好きです。

-----三河湾の新鮮な魚は、故郷の味の原点ですね。

小池: そうですね。あ、もうひとつ、三河湾のアサリはとっても身近で、大好きでした。ヤマサちくわ本店の角のところに、よく「剝き身屋」のおばさんがいましたよね。

佐藤社長: よく覚えてるね!地面に座って、その場で剝き身にしてくれるんだよね。

小池: そうですそうです!それをだしに炊いた煮物やお味噌汁で育ちました。

佐藤社長: 三河湾で獲れるアサリの漁獲量は、全国の過半数を占めるほどですよ。

小池: 有名ですよね!毎年3月頃に豊橋から送ってもらい、それを小池の両親といただくのですが「こんな美味しいアサリは食べたことがない!」と感動され、とっても喜ばれます。アサリはまさに“故郷の味”ですね。



写真提供:安久美神戸神明社

●豊橋鬼祭で知られる安久美神戸神明社(あくみかんべしんめいしゃ)では、鬼祭の際の面の奉製開始奉告祭を斎行したのち、奉製者は境内潔斎殿に五日間参籠して奉製が行われます。その参籠中に摂る潔斎食では、江戸時代から続く伝統の献立として「アサリの剥き身御飯」と「豆腐の澄まし汁」が供されます。

ドラマの夫妻と同じく、家庭もご当地弁。
出会いからのスピード婚にも重なるところが!?

-----豊橋でも、朝ドラの『エール』はたいへんな盛り上がりですが、カンナさんはご覧になられていますか?

小池: はい、もちろんです!初回から毎朝主人とふたりで観ています。コメディタッチでとっても楽しいドラマになっていますよね。特に4月にスタートした頃は豊橋の三河弁、裕一の川俣時代のシーンでは福島弁がよく出てくるので、主人と「まったく我が家の会話とおなじだね」と笑っています。「あなたにそっくり」「こんなになまってるの?」なんていいながら、楽しく観ています。

佐藤社長: カンナさんは今でも三河弁を話しますか?

小池: 知らず知らずのうちに出てるみたいですね。うちの息子は、福島弁と三河弁の両方を使います(笑)

佐藤常務: 豊橋と福島のバイリンガルですね(笑)

 ドラマでは、主人公の古山裕一・音夫妻の結婚に至るエピソードがおおいに話題に。史実でも、愛妻家として知られた古関裕而。のちに妻になる金子とは、何度も熱烈な手紙を交わし、3ヶ月の後に豊橋まで金子を迎えに行き、結婚に至っています。

佐藤社長: それにしても、ドラマの音はもとより金子さんも、1930年(昭和5年)当時、いきなり福島でまだ無名だった古関さんの国際作曲コンクール入賞の新聞記事を読んですぐさま手紙を書いちゃうわけだから、ずいぶん積極的な印象ですよね。

小池: あの時代にあれほど活発な女性というのは、豊橋では珍しかったんじゃないですか。私も「豊橋からよく福島の会津までお嫁に来たね」と言われますが、その当時の金子さんにとっては、私以上に福島のことなど何もわからなかっただろうと思います。

佐藤社長: 顔も知らない青年にいきなりラブレターを出して、わずか3ヶ月の文通で結婚して福島に飛び込んでいくなんて、相当な勇気がいりますよね。

-----カンナさんは金子さんに共感するところなどありますか?

小池: 実は・・・私も出会いから半年で、主人と挙式でした(笑)当時私は東京で勤めていて、主人は会津に暮らしていたのですが、私は会津が福島のどこにあるかも知らないほどでした。古関夫妻と同じように、出会って数ヶ月で結婚というのも重なるなあと思いました。

佐藤社長: そうだったんですか!古関夫妻も小池夫妻も、超スピード婚だよねえ。

佐藤常務: カンナさんは、まさにリアル金子さんだったとは(笑)

小池: そうですね(笑)怖いもの知らずだったところも、音や金子さんと同じかな。

福島県内の『リオン・ドール』店頭に、
豊橋名産<ヤマサちくわ>が初お目見え!

佐藤社長: 地元ではあまり知られていませんでしたが、今回の朝ドラ誘致の際に主人公や古関夫妻のことを初めて知り、いろいろと調べてみると非常にユニークな生い立ちや経歴でとっても興味が湧きました。
よし、豊橋でも『エール』を盛り上げよう!と、地元の若者たちと一緒に福島市のみなさんと交流したり、市内唯一の蔵元『金水晶酒造』さんや奥只見の『ねっか』さんを訪問するなど、多くの機会に恵まれました。

-----昨年の8月には、“日本一の大わらじ”で有名な「福島わらじまつり」にも参加されたとか。

佐藤社長: あのでっかいわらじも担ぎましたよ!(笑)
また、福島市の四川料理店『石林(シーリン)のシェフが豊橋の出身で、実はお父さんがヤマサちくわで働いていらっしゃったそうなんです。そんなご縁もあり、一気に福島が身近になりました。

-----今回のカンナさんを通じての『リオン・ドール』さんとのつながりといい、ドラマとの相乗効果も含め、<豊橋><福島>を盛り上げる絶好の機会でしたね。

佐藤社長: そうですね。行政とも連携して、<豊橋><福島>に関連するいろいろなイベントや物産展も企画、予定していただけに、今回の新型コロナウィルスの影響は残念でなりません。
でも、今回『リオン・ドール』さんが販売やPRに協力してくださり、たいへん感謝をしています。

大沼: はい。ヤマサちくわさんの販売ブースは、非常に好評です。販売当初、ドラマの舞台が川俣町だったこともあり、在庫がゼロになるほどの大好評でした。

佐藤社長: ドラマの話の展開は、やはり影響がありますか?

大沼: 実際、店頭での影響はかなりありますね。

小池: これから暑くなるとビールのシーズンですから、ちくわはおつまみとしてもぴったりですよね。我が家では、「豆ちくわ」が人気です。

佐藤社長: 豆ちくわは種類もずいぶん増えて、いろいろな味が揃ってるんですよ。

佐藤常務: 新商品では、クラタペッパーを使用した<黒胡椒豆>、豊橋特産の青じそ入り<うめしそ豆>、生姜と葱入りの<生姜豆>、冬限定の<うに豆>というのもあります。

小池: わあ、私の知らない豆ちくわがいっぱい!

大沼: 店頭でもやっぱりドラマの話題と、おつまみとしての<生姜豆>は人気です。

佐藤社長: 豊橋のちくわは、福島で今年初お目見えなので、ぜひとも食べ応えのある太ちくわを、ドラマの音さんのようにまるかじりして味わってみてください!

小池: まさか豊橋のヤマサちくわがうちの店に並ぶ日が来るなんて、予想していませんでしたから、とっても嬉しいです!

佐藤社長: 「箱根を越えず・・・」が当社のモットーだったのに、いきなり「みちのくの玄関・白河の関」を越えてしまいました!(笑)

小池: これを機に、東北でも豊橋のちくわをどんどんアピールしてくださいね。

佐藤社長: そうですね。特に今年の夏は、ちくわを通じて元気のエールを皆さんにお届けしたい!と思っています。
1年の半分を終えた6月30日の晦日に、半年分の穢れや災いをお祓いし、残り半分を元気に息災で過ごせるよう願う「夏越の祓(なごしのはらえ)」という神事があります。


写真提供:安久美神戸神明社
      豊橋の神社でも「茅の輪くぐり」と併せて「夏越の大祓」が行われますが、今年の夏は豊橋から福島をはじめ全国の皆さんに「元気のエールをおくりたい!」という気持ちを込め、『夏越のエールちくわ』を限定販売します。

小池: いいですね!「夏越の大祓」を行う神社は、福島にも幾つかありましたよ。

佐藤社長: 各地に根づいているようです。ヤマサちくわでは、今年6月30日に市内の安久美神戸神明社(あくみかんべしんめいしゃ)にて、『夏越のエールちくわ』を奉納し、皆さんの無病息災をご祈祷してもらいます。


写真提供:金沢市

-----「夏越の祓」は、もともと宮中で行われていた「氷室開き」の節供が起源だそうです。暑い夏に氷が貴重だった江戸時代、加賀から江戸の徳川幕府まで氷を献上したそうです。これにちなみ、金沢では7月1日に青竹を芯に直火で焼く「氷室ちくわ」を食べる習慣も生まれました。

佐藤社長: 「高タンパク・低脂質・低カロリーと滋養のあるちくわを食べて、暑夏を元気に過ごしてほしい」という願いを込めて、実家から娘の嫁ぎ先へちくわを贈る風習も根づいているそうです。

○ GEN-B 和食伝聞帖/夏越のエールちくわ


小池: まさにそれは、「豊橋のちくわを福島の嫁ぎ先に贈る」私と同じですね(笑)この夏はギフトとして、ちくわで元気のエールを贈ってもらいたいですね。
福島にも美味しいものがたくさんありますから、豊橋の皆さんにもお届けできたらと思っています。

佐藤社長: それはいいね!これをご縁に、これからも<福島><豊橋>のおいしいものを伝えていきたいですね。距離は離れていても、こうして身近に話せる機会が持てたことが嬉しいです。
ありがとうございました。


「夏のちくわは元気のバトン」、まだまだドラマも楽しみに、豊橋と福島でエールをつないでいきましょう!


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