活動レポート

第4回『豊・食・人 GEN-B』交流会

「〜江戸から続く手仕事と魚旬暦《おでん》を楽しむ〜その四」

開催日 2019年2月21日(木)18時受付〜21時30分終了
場所 恵比寿 写真集食堂めぐたま
東京都渋谷区東3-2-7-1F
http://megutama.com/
お話 ヤマサちくわ株式会社
七代目 代表取締役 佐藤元英
https://yamasa.chikuwa.co.jp/

恵比寿の写真集食堂『めぐたま』にて 東三河のうまいもん×江戸料理の豊かな出会い。

 魚上氷〜うおこおりをいずる〜。春の兆しを心待ちに、薄氷の間に間から魚も活きよく飛び跳ねる候。まだまだ名残惜しい熱々おでんも、一足早くテラスでのちくわ炭火焼も、両方楽しんじゃおう!と、東京都内では第4回目となるGEN-B交流会が2月21日(木)に開催されました。

 会場は、恵比寿にある写真集食堂『めぐたま』。柱のない開放的な木造の空間、床から天井まで壁一面の本棚には、なんと写真集約5,000冊がぎっしり!その全部が写真評論家・飯沢耕太郎さんの蔵書という。絶版本も巨匠のサイン本も、心地よさげにお店の顔として収まっています。

 『めぐたま』のごはん担当は、お店を切り盛りする「おかどめぐみこ」さん。イベントは、ことばのアーティスト「ときたま」(土岐小百合)さんが主に担当。全国の安心でおいしい食材からつくられる「日本のおうちごはん」と、おふたりの豊かなキャリアを活かした多彩かつユニークな視点でのイベントは、幅広い層に親しまれています。

 今回のGEN-B交流会は、めぐみこさんのお得意とする“江戸料理”と、ヤマサちくわのふるさと“東三河生まれ”の食材や調味料を使った料理やお酒との初コラボレーション企画。メニューを見ているだけでもワクワクしますが、当日「めぐたま」チームと「GEN-B」チームが東三河の味を話題にしながら仕込む様子がなんとも楽しげで、期待も一層高まります。

 関東・東海圏の「げんび〜(食いしん坊)」な参加者には、食に関わるスペシャリストも多く、カウンターに並ぶ食材やメニューにも興味津々。まずは、『めぐたま』おなじみのウェルカムおにぎりでお客様をお出迎え。
 香ばしいヤマサちくわのかば焼きを乗せたおにぎりに、はらぺこで駆けつけたお客様は、ほおばった瞬間思わずにんまり。甘辛い味が食欲をそそります。ヤマサちくわオリジナルのちくわの箸置きも、「これ、かわいい!」と大人気でした。

 交流会の発起人、『こめみそしょうゆアカデミー』おかみ・堀田雅湖さんからのご紹介で、ヤマサちくわ株式会社七代目 佐藤元英社長がご挨拶。「ちくわ」「蒲鉾」のルーツ、江戸時代から今に伝え継がれるヤマサちくわの歴史から、魚食における保存技術の伝承や旨みを生かす素材のテクスチャーについてなど、興味深いレクチャーに一同熱心に耳を傾けました。

 お待ちかねのお食事タイムでは、豊橋の地酒『福井酒造』の「四海王」で乾杯。めぐみこさんのお料理の説明を伺いながら、江戸前の旨みと東三河独特の旨みを盛りだくさんな内容で食べ比べました。

〈付出し2種〉
「半月」の梅紫蘇焼き

サメのすり身を職人の技でふわふわに仕上げたヤマサちくわ人気商品「半月」に梅肉とシソをはさんで焼いた一品。
酒のつまみに。

かすてら焼き(「料理早指南」より)
名前の由来は江戸時代にもっとも人気のあった南蛮菓子「カステラ」から。「古今名物御前菓子秘伝抄」にレシピが載っています。
小麦粉ではなく、「すり身に玉子を入れて上下から焼く」というカステラと同じ製法の料理に、めぐたまの焼印を押しました。

〈椀盛〉 白身魚の擦り流し(江戸料理屋「江戸八百善」のレシピで)
「ヤマサちくわさんご提供のすり身がとっても上質でおいしかったので、ふだんよりたっぷりと使ってお椀に仕立てました。
椀種の豆腐は水焼きをして風味を凝縮しています」。

〈季節の魚料理〉 鰯の酢煮(すしに)(「豆腐百珍続編」 付録より)
すしといっても酢は使わず、おからに醤油、酒を注いでしっとりとさせ、鰯のお腹に詰めて、おから、イワシ、おから、イワシ、おから、、、と重ねて一晩寝かして熟れさせる。そのまま火にかけ、1時間ほど煮込むと、おからの中で鰯が蒸し焼きになることで、臭みなくまろやかな味わいに。
「残ったおからにも鰯の旨みが入っているので、とってもおいしい酒肴になるんですよ」。

〈揚物〉 ちくわとサツマイモと生姜たっぷりのかき揚げ
ちくわの弾力とさつまいもの甘みを味わい、生姜でさっぱりと。

〈箸休め〉 かまぼこと菜の花の柚子胡椒和え
上質のすり身を使ったかまぼこと、旬に先駆け契約農家から届く初物の菜の花をきりっとした味わいの柚子胡椒で和えます。

〈お食事〉 ちくわとこんにゃくの泥鰌(どじょう)もどき丼(蒟蒻百珍より)
こんにゃくとちくわをゴマ油で揚げて、柳川風に仕上げる江戸の「もどき」料理。ちくわの原料となるえそのあらを活用し、ヤマサちくわが開発した『えそ醤油』を使用。
「えそ醤油の旨みとちくわからもいいお出汁が出るので、ご飯にかけるととってもおいしいですよ」。

〈お菓子〉 江戸味噌のさくら大豆
江戸味噌を使った大豆のお菓子。

 その他にも、〈七代目からのおもてなし〉が盛りだくさん。
 GEN-Bおなじみの「炭火焼ちくわ」は、佐藤社長自ら竹の棒にすり身を巻きつける技を実演披露。すり身を平たく均して、くるくる。鮮やかな手さばきは写真では伝わらない!と、動画で撮る方も。
 テラスでは、佐藤常務の指導のもと、用意した炭火でそれぞれご自身で焼いて、焼きたてならではのちくわの香ばしいおいしさを楽しんでいただきました。

 ヤマサちくわ秘伝の「こってり味噌おでん」もたっぷりとご用意。「満腹でもこれは食べちゃうわ!」「お酒ともご飯ともよく合うね」「色を見るともっと味が濃いかと思ったけれど、辛くなく、コクがあるのにあっさり食べられる」と大好評!

 愛知出身の参加者からは、「ご飯の真ん中に卵をのせて箸で割り、そこにたっぷりと味噌味の煮汁をかけて混ぜながら食べるのが愛知流」とレクチャーも。ご飯のお代わりがやみませんでした。

 特に注目を集めたのは、めぐみこさんが用意した「江戸味噌」セット。一番色の濃いお味噌が、江戸前のフレッシュな味わいが特徴の「江戸味噌」。ハートのシール付きは、それを甘めに仕上げた「江戸甘味噌」。お出汁のようなものは「たれ味噌」で、江戸味噌を水で溶いて煮詰め、漉して醤油のように仕上げたものだという。

 「江戸では蕎麦は味噌で食べたと文献に残されていたのを不思議に思っていたのですが、なるほどこのたれ味噌のことだったのか!と。きりっとした旨みがあって出汁がいらないんです。白味噌風のものは、たれ味噌を漉した後に残ったもの。旨みもしっかり残っているので、私は味噌汁や和え物に使ったりします」とめぐみこさん。
 江戸味噌は、江戸生まれの味噌としてかつては江戸っ子達が常食し、白味噌、仙台味噌、田舎味噌(麦味噌)、八丁味噌とともに日本を代表する「5大味噌」として知られていました。

 米、大豆、食塩を原料とした“米味噌”で、米麹をたっぷりと使うのが特徴。塩を減らし、蒸した大豆の温度が高いうちに多量の米麹を混ぜ、発酵を一気に進めます。約2週間〜20日、夏場なら10日間ほどの短期間でできるため、「江戸の気質に合った」フレッシュな味わいとしてたいへん流行ったそうです。

 しかし、太平洋戦時下において麹(米)をたくさん使うことから贅沢品として禁制に。以来ほとんど陽の目を見ることなく、 “幻の江戸味噌”となってしまいました。
 その中でも都内で醸造を続け、江戸甘味噌の伝統を守ってきた味噌蔵も数件あり、近年はその地道な活動が認められ、「東京都ふるさと認証食品」に認定され、再び注目されています。

 「いわゆる味噌臭がなく、素材の味を邪魔しないので、和食に限らず多様な料理に使えるお味噌なんです」とめぐみこさん。
 これらの江戸味噌を、農業王国と言われる東三河産の新鮮野菜に添えて皆さんに味わっていただきました。

 「江戸時代、江戸には各地から味噌が持ち込まれ、それらが田舎味噌と呼ばれました。徳川家が重宝した愛知発祥の八丁味噌も、そのひとつ。この時代から江戸と三河の味はつながっていたんですね」と堀田さん。
 こってりまろやかな三河の味と、あっさりきりりとした江戸の味。まるで対極にあるようですが、こうして食卓としてコーディネートしてみると、非常に味わい深く豊かなマリアージュが生まれるんですね。
 4回目にして新たな発見の多い、GEN-B交流会となりました。次回もさらなる出会いに期待しています!


● この夜は佐藤社長の還暦のお誕生日イブと重なり、サプライズでお祝い!、GEN-Bメンバーの『CONVEY〜food&design〜』 様より、フルーツいっぱいのアレンジメントが届きました!会場の皆さんと賑やかにシェア。Emina社長、横田渉シェフ、ありがとうございました。

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