活動レポート

名古屋調理師専門学校「ヤマサちくわ公開講座」

「食でつなぐ伝統」
“昔も今も変わらぬ旨さ”の秘密を大公開!

開催日 2018年11月17日(土)
場所

学校法人 糸菊学園 名古屋調理師専門学校
名古屋市瑞穂区新開町5-3

お話 ヤマサちくわ株式会社
七代目 代表取締役 佐藤元英
https://yamasa.chikuwa.co.jp/

学生たちの熱気あふれる全校イベントにて 練りものの文化を伝える食育講座を開催!

 名古屋でまもなく開校50周年を迎える名古屋調理師専門学校 。学生は高校課程から社会人まで幅広く、調理師や料理人の育成をはじめ、病院食や介護食、薬膳などを専門に学ぶ福祉調理科も充実しています。
 毎年学園祭シーズンには、学生たちが授業で何を学び、どんな料理を作っているかなどを一般の方にも知ってもらい、楽しくおいしく「調理」に触れてもらうイベントを開催しています。

 今年は“食でつなぐ伝統”をテーマに、さまざまな国や地域の伝統食について紹介。チーズやチョコレートなどの身近な食材について、その由来や種類、レシピなどを研究展示したブースや、自家製ハーブの販売なども販売。10月に学生向けに開講された「ヤマサちくわ特修講座」の様子も、パネルで紹介されていました。

 また、各調理室では、「フランスの伝統料理」「日本のお祝い膳」「中国の春節のご馳走」「東洋の伝統・栄養膳」などの実習講座、お子様も参加できる「キッズキッチン」を開講。学生たちも指導する側となって、はりきって参加者をサポートしていたようです。

 学生たちが前日から仕込んだという八丁味噌を使ったみそ汁の無料配布や、オリジナルドリンク&手作りスイーツでほっと一息つけるチャリティカフェも、大盛況。お子様からお年寄りまで、多くの来場者が訪れ、“未来のシェフ”たちに興味深そうに話しかけていたのが印象的でした。

 午後からの公開講座に向けて、会場となる教室ではヤマサちくわスタッフと佐藤社長がちくわ焼き体験の炭火の準備や、講座で使うモニターなどをチェック。

 164席の座席が階段状に並ぶホールの正面には、デモンストレーション用の調理台。手先の細かな動きまで見えるよう天井から42インチのプラズマモニター6台も設置され、TV番組のキッチンスタジアムさながらの設備に佐藤社長もびっくり。著名シェフによる実演セミナーや、テレビ番組の撮影、料理コンテスト等のイベント会場として使われることもあるそうです。

 受付では、その日焼きたてのヤマサちくわと、厳選材料を使った伊達巻、蒲鉾を来場者一人一人に配布。皆さん座席で頬張りながら、講座資料をチェックするなどして開講を待ちます。
 「おいしい」「いつも食べてるちくわと違う」そんな声も、ちらほら。「伊達巻を初めて食べた」という若い人もいました。

 佐藤社長が登壇すると、開口一番はやっぱり「こんちくわ!」とごあいさつ。親しみあふれる三河弁に、たちまち会場も和みます。

 聴講者は、いつにも増して幅広い年齢層だけに、日本の魚食文化の始まり、「東海道」や「塩の道」などの歴史的なお話も、知識や受け止め方はさまざま。佐藤社長の講座では、いつもプロジェクタを通してレクチャーするのですが、今回はホワイトボードを使ってアクティブに解説。

 また、調理を専門に学ぶ学生もいるため、おいしい歯ごたえ=テクスチャを生み出すのに不可欠となる「塩の効果」についても、物質変化や組織構造など詳細に解説されていました。

 ちくわや蒲鉾などの練りものは、ごく身近に食べている食材ながら、実は原料や製法による違いなどについて知らないことも多く、食べ方も固定観念に縛られがちなのかもしれません。

 お待ちかね、ちくわを竹の棒に巻く実演では、モニターに映し出される手元の映像を観ながら、あちらこちらから感嘆の声!佐藤社長もこれには新鮮な感動があったようです。

 ヤマサちくわの講座は、自主体験型。「やってみたい!」と手を挙げた人からどんどんチャレンジしてもらいます。ちくわのタネを巻きつけるコツを、佐藤社長が手を添えて伝授。料理人を志す学生は、さすがにコツをつかむのがお上手です。
 会場の皆さん興味津々。炭火焼き体験もどんどん参加してもらいました。

 「こんな風にちくわを“巻く”なんて知りませんでした。焼きたての弾力にびっくりしました!」と、ベトナム出身の女性。江戸時代から190年続く企業があることも、アジア圏では特に珍しいと言われています。

 焼きたてのちくわを頬張ると、やっぱりみんな笑顔になって、ついはしゃいじゃいますね。

 学生と先生方の運営でスムーズに開催された、名古屋調理師専門学校初の公開講座。これも未来に日本の味を伝え継ぐ大切な食育、GEN-Bの活動の一環として今後も積極的に取り組んでいきます。


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