四谷の千枚田(愛知県新城市)

| 開催日 | 2025年9月13日(土)~14日(日) ※稲刈りは14日 |
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| 場所 | 姫街道巡りとちくわ焼き体験と奥三河・四谷千枚田での稲刈りと奥三河観光 |
| ご案内 | ヤマサちくわ株式会社 七代目 代表取締役 佐藤元英 https://www.yamasachikuwa.com/ |

毎年恒例となったGEN-B稲刈りツアー。田植えから暑い暑い夏を経て、約4ヶ月。『鞍掛山麓千枚田保存会』の皆さんによる日々の丹念な手入れのもと、四谷千枚田の棚田には黄金色の稲穂がたわわに実りました。今回のツアーは、「姫街道」をテーマに浜松から豊橋、そして奥三河へと、食に関する深い学びと地域文化の体験、そして奥三河の豊かな自然を満喫する2日間となりました。

初日は、東京から名古屋からアクセス便利なJR浜松駅に集合、各車に分かれて出発です。車中での話題はさっそく、ご当地の“うまいもの”。浜松とくれば鰻!と、お勧めの店情報で盛り上がるところは、さすが食いしんぼうGEN-Bツアーです。

まず向かったのは、浜松市にある明治41年(1908年)創業の『トリイソース』本社。原材料への徹底したこだわり、無添加・無着色・無香料の自然派ソースづくりを信条とし、「職人による手づくりソース」を守り続けている老舗企業です。
鳥居食品株式会社四代目鳥居大資社長にご案内いただき、厳選された素材の活かし方、独自のソースづくりの工夫、そして伝統を守りながらも進化を続ける企業姿勢などについてレクチャーをしていただきました。




「トリイソースの主役は野菜」というだけあって、ペーストやパウダーではなく、“生の野菜”をまるごと使用。じっくりと常温から加熱し、酵素の働きを最大限に活かして煮込むことで、野菜本来の旨味を最大限に引き出しているそうです。煮込んだ野菜は裏ごしせず、石臼でていねいにすり潰し、皮や種なども余さず使い切ります。これが自然な風味が活きたソースのベースとなるのです。


酸味のもととなる酢も、自社で醸造。一般的な速醸法ではなく発酵〜熟成に時間をかける「静置発酵法」を採用することにより、ツンとしないまろやかな酸味が生まれ、ソース全体の味わいに深みを与えます。


木桶熟成の現場も見学。ソースを木桶で!?そうなんです!香辛料を段階的に漬け込む独自製法は日本でも稀有で、木桶の微妙な凹凸によって接触面積が増え、熟成が進みやすくなるそうです。また、木にソースが染み込むことで味が安定するという性質も、トリイソースならではの深い味を支えています。



そのほかにも、香辛料はホールもしくは粗挽きの状態でじっくりと香味を引き出すなど、素材重視のこだわりの“多重奏”が、トリイソースにしかない旨味を醸し出しているのです。


実は、事前にウスターソースを使った肉料理や魚料理がいただける『トリイ食堂』を新設中とお聞きし、ぜひランチに!と期待したのですが、残念!この時はまだ準備中でした。11月にオープン予定とのこと。トリイソースファンはお楽しみに!


カラフルなラベルのソースやオリジナルグッズが充実した直営ショップでのお買い物を楽しんだ後、昼食はトリイソースとの共同開発によるオリジナルソースでいただける『とんかつ八兵衛 入野町店』へ。野菜の旨味が生きたフルーティーなソースは、重さを感じさせず、ボリュームたっぷりのとんかつもペロリと完食。ソースが美味しいので、おかわりキャベツまでしっかりいただいちゃいました。






午後は、歴史と自然が息づく「姫街道」を巡る旅へ。大河ドラマ『おんな城主 直虎』の舞台となった井伊谷(現在の静岡県浜松市)から、三河方面(現・豊川市)へ抜ける裏街道として特に女性の旅人が東海道の難所を避けるために利用されたのが「姫街道」です。


最初の目的地は、臨済宗方広寺派大本山「方広寺・奥山半僧坊」です。移動中は大降りの悪天候でしたが、到着すると奇跡的に雨が上がるという大幸運に恵まれました。緑の杉木立ちに浮かぶ赤い亀背橋(きはいきょう)からの水墨画のような眺めは、紅葉スポットとしても人気です。広大な境内には、本堂や開山堂に加え、全国でも珍しい「五百羅漢像」が点在。一体一体異なる表情や姿につい足が留まります。







次に訪れたのは、小堀遠州作とされる美しい庭園で知られる「龍潭寺」。井伊家の菩提寺として知られる古刹です。小堀遠州作と伝わる枯山水の見事な石庭を眺め、しばし憩いました。




姫街道を進み、気賀の関所や三ヶ日みかん畑を通り抜けて、豊橋市へ。石巻地区に広がる『百年柿園 ベル・ファーム』を訪問しました。5代目の鈴木義弘さんから、豊橋特産「次郎柿」をはじめ、西村早生や早秋といった様々な柿の栽培方法や特色、日本一の次郎柿産地としての誕生秘話についてなどをお聞きしました。さらに、3種類の柿の食べ比べという贅沢な体験も!それぞれに個性豊かな味わいを堪能できました。







おなかは大満足、でもコレは別腹!と、GEN-Bツアーの定番『御菓子所 絹与』にてあずきバーで一服。手間ひまかけて炊く自家製あんの美味しさは絶品で、お土産の羊羹や最中も外せません。


ホテルで一休みして、夜は『ヤマサちくわ直営店 広小路でんでん』にて、七代目佐藤社長自らがおもてなしという特別な宴席です。旬の酒肴、「お座敷天ぷら」の揚げたて、おなじみすり身の手巻きによる“焼きたて”ちくわを味わう炭火焼体験に、福島県南会津郡只見町のトマトを使ったおでんなど、ワイワイと楽しみながら杯を交わし、交流を深めました。














翌朝は、いよいよメインイベントである奥三河・四谷の千枚田での稲刈りです。新城鞍掛山山麓に位置する四谷の千枚田で田んぼを借りるようになって、今年で10年目。前日の豪雨で中止の可能性も強かったのですが、幸運にも水捌けの良い田んぼがあり、無事に稲刈り決行となりました。




この数年欠かさず参加のベテランから今年初めての方まで、全員が真剣な表情で大汗をかきながら取り組みました。収穫したお米を毎年好評のランチセミナーで使っていただく『セルリアンタワー東急ホテル』様からもはるばるご参加いただきました。








手刈りで稲を刈り取っていくのですが、5株ごとに縄で縛るのにはコツがいります。保存会の皆さんに手ほどきを受けつつ、スムーズなペースで進みました。皆で協力して「ハザ掛け」の木組みも初体験。こうして稲を掛けて自然に乾燥させることで、お米の美味しさがさらに増すそうです。




近年は獣害に日々悩まされているそうで、借りている田んぼにもイノシシが入ってしまい、収量が減ってしまったと、お世話くださる『鞍掛山麓千枚田保存会』小山舜二会長が悲痛な面持ちでお話しくださいました。イノシシが体を転がしたところの稲が倒され、大きな穴に。稲に獣臭が残ってしまい、収穫できなくなるそうです。


また、年々広がる棚田の耕作放棄地の現状も目の当たりにし、この素晴らしい景観と文化、そして自然を守り、美味しいお米を作る大切さをあらためて痛感させられました。
美しい景観と美味しいお米の里「四谷千枚田」の保存会の活動にも、ぜひご注目ください。




鞍掛山麓千枚田保存会の皆さん

稲刈り作業でお腹はぺこぺこ!自然豊かな『愛知県民の森』(新城市)モリトピア愛知内に2025年4月に改装オープンしたレストラン『しゃくなげ』に向かいます。奥三河バーベキュー協会会長の藤田忠志さんが、「バーベキューの魅力を伝えたい!」と運営を手がけ、初級バーベキューインストラクター検定も開催されています。


おつかれさま!のビールを片手に乾杯!疲れも吹き飛びます。鹿、鴨など奥三河のジビエ、「錦爽鶏(きんそうどり)」「段戸牛(だんどぎゅう)」といった東三河・奥三河のブランド肉など、バラエティ豊かなメニューをバイキングスタイルで贅沢に堪能。藤田さんからガスコンロでの調理と炭火でのバーベキューとの違いを手ほどきいただき、皆大満足、大満腹でした。






帰路は、戦国時代の激戦を偲ぶ長篠城址を経て、奥三河自慢の特産品直売所『こんたく長篠』では、手作りの梅漬や奥三河のブランド和牛「鳳来牛」等をお買い物。豊かな自然と歴史が息づく奥三河の魅力を存分に感じながら、豊橋へ戻りました。
汗を流して、美味しいものを食べて、楽しく語り合って、お土産もてんこ盛!今回も稲刈りツアーを通して、日本の食と農業、そして三河地方の地域文化の奥深さを体験し、心身ともにリフレッシュした旅でした。

食文化の作り手、育み守る人々、豊かに提供し伝える企業がつながり、その大切さを識り豊かに味わい愛で楽しむ人々へ。こうした交流こそがGEN-Bの活動の根幹でもあります。
四谷千枚田で収穫された恵みをともに味わい、さらなる食いしんぼうGEN-Bの交流の輪を広げていきましょう!
