第5回『豊・食・人 GEN-B』交流会
「〜江戸から続く手仕事と魚旬暦《おでん》を楽しむ〜その五」開催日 | 2019年12月1日(日)15時30分受付〜20時終了 |
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場所 |
アトリエ CONVEY 東京都世田谷区深沢3-9-2 ベアバレー自由が丘1階 https://www.conveyfood.com/ |
料理 |
CONVEY 横田 渉シェフ |
お話 | ヤマサちくわ株式会社 七代目 代表取締役 佐藤元英 https://yamasa.chikuwa.co.jp/ |
師走初日の日曜日。令和となって初のお江戸でのGEN-B交流会が、東京都世田谷区唯一の商店街エーダンモール深沢(東深沢商店街)内にある『アトリエ CONVEY』にて開催されました。
こちらは、「気持ちを伝える・想いを伝え、運ぶ」をテーマに、ウェディングのケータリング、ホームパーティーのプロデュースなど、素材を生かし、食を愉しむ非日常の食空間を作り出す横田 渉(よこた わたる)シェフと料理家eminaさんが主宰する『CONVEY〜food&design〜』の新拠点。プライベートシェフによる貸切や食に関する勉強会、プレゼンテーションの場としての利用はもちろんのこと、横田シェフによる各地の特産品、企業商品等のアレンジ・レシピ提案なども併せて活用いただけるという、まさに“食の交流空間”です。
いつもより少し早めのイブニングスタートでしたが、今回は「番外編」として朝・昼の2回「ホンモノのちくわをつくろう!! 親子ちくわ教室」も開催されました。内容は、おむすびランチ付き・ちくわつくり。子供達にもおなじみのちくわですが、職人が目の前で竹にすり身を巻き、自分たちで炭火で焼くのは、全員初体験とのことでした。
「ちくわになる魚は何でしょう?」という佐藤社長の問いに、「サバ!」「イワシ!」「カツオ!」など、意外にもたくさんの魚の名前が元気良く上がってきました。「グチ、エソ、ハモ、タイなど主に白身の魚を使うんですよ」という答えには、お母さん方から「えーっ、ハモも!?」と驚きの声が。
すり身をちくわに巻きつける体験では、佐藤社長のお手本と佐藤善彦常務との連携の鮮やかさに、子供達の目も釘付け。お母さん方もいざ挑戦!と奮闘する様子を撮影する子もいました。
日曜の商店街の軒先に炭火台を出して、みんなでちくわ焼き。最初は「ちくわきらーい」「焼くのめんどくさーい」なんて言っていた子も、いざ焼くとなると真剣!つきっきりで竹棒を回し、お母さんの焼き色チェックまで。
上手に焼けてアツアツのちくわをほおばるやいなや、「おいしーい!」と一気にもぐもぐ。eminaさんが用意してくださった新米のおむすびとお味噌汁、伊達巻、はんぺんまでたいらげて、おなかも大満足。商店街の通りに駆け出し、元気いっぱいに遊ぶ声がのどかな商店街に響きました。
近くに店を構える『深沢キッチン』で仕込みをしていた横田シェフも、午後からはアトリエの厨房へ。お次は全員で大人のGEN-B交流会のための準備です。
この日のために横田シェフが考案したメニューを目にするだけでワクワクします。
都内での開催は5回目。リピートしてご参加いただいているお客様同士お顔なじみの方も少なくなく、テーブルごとに始まりから和やかモード。初めての方へのレクチャーに加え、昨今の海水温変化により水揚げされる魚種も変わりつつあるなど、漁業事情についても語られました。
お待ちかねの食事会は、乾杯でスタート。厨房では、横田シェフが段取りよく調理を進める傍らで、eminaさんがオードブルを彩りよく盛り付け、次々とテーブルへ。阿吽のオペレーションは、まさに二人三脚!お見事です。
ヤマサちくわの定番商品を使った4種のオードブルから、みなさん目がまんまるに!うにを練り込んだ豆ちくわ「うに豆」の磯辺揚げかな?と思いきや、ちくわの溝にサワーライスのサブライズ。鯛ちくわを縦に切ってエスカルゴ状に巻き、ハーブアンチョビをトッピングしたり、チーズ巻きはそのまま燻製、豊橋産うずら玉子とピクルスにしたちくわなど、「そうか!」「これは!」と膝を打つアレンジばかり。
続いて各席から「かわいいー!」と歓声が上がったのが、まあるいピンチョススタイルの海老アメリカンドッグ。つい笑顔でポーズしたくなる、フォトジェニックな一品でした。
次に運ばれてきたのは、細長い緑の葉の包み。マレーシアやシンガポールに伝わるニョニャ(プラナカン)料理のひとつで、屋台や家庭料理としておなじみの「オタオタ(Otak Otak)」。魚のすり身にスパイスやココナッツミルクを練り込み、バナナや椰子の葉に包んで焼くというエスニックな練りものです。
横田シェフのオリジナル調味料「潮鰹スパイス」を使ったすり身が、バナナの葉で蒸し焼きにすることでより旨味ゆたかに。お酒がすすんじゃいますね。
横田シェフは2015年に『男子厨房 居酒屋料理』(成美堂出版)を上梓、シンプルながら工夫を凝らした酒肴のレシピが満載。その英語版も、今年11月に発刊されました。 『The Real Japanese Izakaya Cookbook: 120 Classic Bar Bites from Japan』(Tuttle出版)
この日ご用意したお酒は、豊橋の老舗酒造 福井酒造 の「四海王 夢吟香40」、鹿児島の赤屋根製造所(晴耕雨読醸造元)/(有)佐多宗二商店の「クラフトスピリッツ AKAYANE」シリーズ。ヤマサちくわが新たに立ち上げた酒販部門「美酒蔵 はなたれ屋」でもイチオシの国産蒸留酒です。ほかにも、四季ごとのボタニカルの風味を生かしたクラフトジンや、11月にリリースされたばかりの「アブサン クスシキ R01」も初お目見え。
さる11月27日にヤマサちくわ直営店『ねりや花でん 』(豊橋市)にて開催された第1回シンポジウム「NEXT STAGE! 令和注目 クラフトスピリッツ AKAYANE」の様子も、ぜひご覧ください。
旬の冬野菜を、手でやさしくマッサージするように仕上げたというサラダには、ヤマサちくわの手みやげ推奨商品「ちくわあられ」をトッピング。旨味を凝縮し、カリカリに仕上げたドライなちくわと黒豆、あられの「おいしいとこどり」が風味と食感を高めます。
寒い季節に「フウフウ」と言いながらいただきたいフランス家庭料理といえば…「クネル(Quenelle)」。リヨンの郷土料理で、白身魚のすり身で作られるはんぺんのようなお団子に、アメリケーヌやベシャメルなどのソースをかけてオーブンで焼き上げます。
真っ白ふわふわ、その食感と風味はまさに、ヤマサちくわのロングセラー「半月」そのもの!「こんがり、熱々、クリーミー」と、冬に嬉しい三拍子がそろったメニューとなりました。
クリーミーなソースは、上質のすり身を練り込んだオリジナルフォカッチャ「ぎょぱん」につけて。「すり身がパンに!?」とまたまたサブライズ!ふっくら香ばしい、後をひく美味しさでした。
「何度参加してもこの焼きたてちくわが格別!」そんな声を聞くとやはり嬉しいもの。佐藤社長、佐藤常務も張り切って、せっせせっせとちくわを巻いてくれました。クラタペッバーの完熟黒胡椒をガリガリッと挽いた特別バージョンも。
冬空と言っても例年より暖かな宵、専用炭火コンロででちくわを焼くのは、商店街でも珍しい光景だったようです。
たっぷり食べても、これだけは逃せない!と、ヤマサちくわ秘伝の味噌おでんは、やっぱり今回も大人気。もう食べられなーい!と言いつつ、「やっぱり私も…」。そうこなくっちゃの自慢の味です。湯気が恋しい季節のご馳走ですね。
もうひとつのお待ちかねは、ヤマサちくわの真骨頂「特製ちくわ」を使ったレモンリゾット。豊橋産 河合果樹園 の無農薬レモネーディアの爽やかな芳香がちくわの旨味となじんで、これもインパクトのある美味しさでした。
メインディッシュは、全国屈指の農業王国・豊橋市生まれのブランド鴨「あいち鴨 で飼育されている「あいち鴨」のロースト。「京鴨」と同じチェリバレー種で、あいち鴨の生産量80%以上が京都の料亭など関西圏に流通しているそうです。豊橋は1年を通して気候が安定していることから、ストレスのない環境で飼育されるため、国内でも最高級の肉質と高い評価を得ています。
横田シェフの絶妙の火入れで、ロゼ色に焼きあがった鴨。仕上げはなんと、ヤマサちくわの「ちくわ煎餅」をクラッシュしてトッピング!しっとりときめ細やかな肉質の鴨に、ハモの香ばしさとクリスピーな食感があいまって、味わったことのないおいしさに。
新たな楽しみが多彩にひろがったフルコースの締めは、バニラアイスクリームに、豊橋の特産、青じそを使った「青じそオリーブオイル」でさっぱりと。佐藤社長もおすすめの市田柿のビールフリットが、リッチな甘みをプラス。食通の参加者も、“想定外”のメニューに舌鼓を打ちつつ、感激しきりでした。
宴もひとしきり、最後に横田シェフから今回のコースに使われた食材についてレクチャー。料理人の目線で捉えた練りものの世界は、まだまだ可能性にふあれていることを実感した一夜となりました。
おまけの楽しみ、今回のおみやげは…初登場!クラタペッパーの黒胡椒入りの豆ちくわ、蟹竹輪、特選鯛竹輪のセット。ピリッと香り高い辛味がアクセントの「黒胡椒豆」は、GEN-Bの会限定年末特別販売でもラインナップされました(販売終了)。
ゆく年くる年、和の恵みに感謝し、来福を祈念して。新たな1年も皆様さらにすこやかに、GEN-Bの会とともにどうぞよろしくお願いいたします。