GEN-B 旬の料理帖

冬の旬魚【赤い魚】 #03

ハレのお膳を鮮やかに彩る、おめでたい海の幸。

 四方を海に囲まれた日本では、海産物は神饌として神事などでお供え、重宝されてきました。とりわけ祝い魚の代表格とされたのが「鯛」。「真鯛」は、紅白の外見と身から縁起が良いとされ、“めでタイ”と語呂合わせもいいことから、晴れの日のお祝い膳には欠かせない魚に。
 同じく金糸を撚ったような線が特徴の「イトヨリダイ」は、やわらかで淡白な味わいから、西日本ではお食い初めや離乳食、またちくわや蒲鉾などの練りものにもよく使われます。

 神社の鳥居や還暦祝い、小豆を炊きこんだお赤飯など、日本では古今東西「赤い色」は邪気を払い、災厄を退ける力があるとされてきました。姿が赤く身が白い祝い魚には、鯛の他に金目鯛、アマダイ、メバル、ホウボウ、その名もアカムツ(ノドグロ)、アカハタなどがありますが、いずれも高級魚とされ、晩秋から早春にかけてが旬です。

 一方、「赤魚」という名称で売られているアコウダイは、赤いカサゴ類の魚。深海に生息しており、釣り上げると水圧の関係で目玉が飛び出してしまうことから、“目抜け(メヌケ)”と呼ばれることも。安価ながら上品淡泊な味で、開きや漬け魚など日常的な“ケの魚”として人気です。

 令和初の年越し、新春を迎えるこの冬。永久の和を願い、縁起物の海老やイクラ、紅白の蒲鉾など多彩な海の幸で、ハレの日を鮮やかに彩ってみませんか。

旬のレシピ

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