GEN-B 旬の料理帖
旬の素材【和からし・地がらし】 #18
三河おでんには欠かせない、生の辛み。
冷蔵庫から出してそのまま使えるチューブ入りのねりからしは、1970年に生まれました。それまでは、「からし菜」の種子を粉末にした「粉からし」を、食べる前にその都度使う分だけ水またはぬるま湯で溶いて練ったものが定番で、そのひと手間を「からしをかく」と表現されてきました。
からし(芥子・辛子)は大きくは「和からし」と「洋からし」に分類されます。いずれも「からし菜」の種子が原料で、洋からしは、酢や糖類、その他香辛料を加えたマイルドな味わいですが、和からしは、つーんと鼻に抜ける辛みや香りの強さが特徴。おでんに添えたり、和え物に使われます。
ヤマサちくわ
『広小路でんでん』やGEN-B交流会のおでんには、赤味噌とも相性のいいこの“かきたて”の和からしが欠かせません。
また、和からしの一種に、福井県産のからし種で造られるからし粉「地がらし」があります。通常の和からしよりも風味が強く、1850年頃(嘉永年間)創業の老舗『麩市』では、明治時代から変わらぬ独自の製法を守り続けています。
からしに含まれる辛味成分アリルイソチオシアネートは揮発性のため、練った後は辛味が飛ばないようすぐに使用するか、ラップなどで密封して保存し、使う前に練り直すことをおすすめします。からし本来の風味をおともに、この秋はぜひ本格おでんを楽しんでみてください。
[麩市]
http://fu-1.com/
1850年頃(嘉永年間)、麩屋市兵衛(ふやいちべえ)により創業。町火消組の組頭であるとともに麩焼きも代々受け継がれ、明治以降は麩・蒟蒻・粉辛子・心太(ところてん)を製造。古来の和からし・香辛料の地がらし、手作り味噌・こんにゃく・ところてんの製造販売店。
● ヤマサちくわ『でんでんおでんの会』
『でんでんおでんの会』にも、麩市の地がらしを添えたセットがあります。
旬のレシピ
- 料理制作:フードコーディネーター 岡嶋芳枝(yoshie okajama)
- 料理撮影:フォトグラファー 三浦藤一 (toichi miura)