GEN-B 旬の料理帖
旬の素材【種なし巨峰】 #26
全国に先駆けた発祥の地、豊橋生まれの大粒種。
太平洋を望む温暖な気候と、豊川がもたらす豊かな水に恵まれた豊橋市。この地でのぶどう栽培は昭和20年代に本格的にはじまりました。中でも代表品種「種なし巨峰」は、地元生産者らが全国に先駆けて昭和52年、ジベレリン処理による種なし化に成功したことで誕生した品種です。以来、豊橋は"種なし巨峰発祥の地"として知られるようになりました。初夏からの他産地に先駆けた早出し栽培も、豊橋産ぶどうの特徴のひとつです。
種なし巨峰の魅力は、なんといってもひと粒の存在感。ぷりっと張った厚みのある果皮の奥に、ぎゅっと詰まった果肉から、糖度16度以上ともいわれる濃厚な甘みとコクのある果汁があふれ出します。深い黒紫色に色づくまでには、たっぷりの日照と朝晩の寒暖差が欠かせません。種を気にせず、大粒をそのまま頬張れる手軽さも、種なし巨峰ならではの楽しみです。
種のない大粒の果実は、開花期の房をジベレリンという天然の植物ホルモンの水溶液にひたして育てます。ジベレリンはもともと植物が発芽や成長のためにみずからつくり出す成分で、動物のホルモンとはまったくの別物。人や動物の細胞にはこれを受け止める仕組みがないため、安心して味わっていただけます。
みずみずしい甘さの豊橋産ぶどうには、ほどよい塩気と旨みを持つちくわや練りものがよく合います。意外な組み合わせですが、仕上げにひと振りきかせる厳選スパイスとの新鮮なマリアージュも、この機会にぜひお試しください。
旬のレシピ
- 料理制作:フードコーディネーター 岡嶋芳枝(yoshie okajima)
- 料理撮影:フォトグラファー 三浦藤一 (toichi miura)