GEN-B 旬の料理帖

旬の素材【桜香味】 #24

桜ほんのり香る、日本の春味。

 日本の春らしい風味のひとつに「桜味」があります。花の淡い彩りと、葉が残すほのかな余韻…その一連をGEN-Bでは「桜香味」と名づけました。
 塩漬けにした花は、湯気の中でふわりとほどけ、桜湯(茶)やおこわなどで楽しまれてきました。花が開ききる前の3~5分咲きの八重桜を主に使うため、収穫と仕込みはごく短期間に集中します。
 和菓子の「桜餅」は、江戸時代に隅田川の桜の葉を塩漬けにして餅を包み、長命寺の門前で売ったのが始まりと伝えられています。関東は薄い焼き皮の「長命寺系」、関西はもち米を用いる「道明寺系」と違いはありますが、どちらも桜の葉の塩漬けを使うのは同じ。葉には大きくやわらかで香りのよいオオシマザクラがよく用いられます。葉に含まれる香り成分「クマリン」は桜ならではの芳香のもとで、塩漬けにすることで香りがいっそう立つと言われています。葉で餅を包めば、甘い餡に塩気がほどよく寄り添い、後味がきゅっと締まります。
 【桜香味】は、魚のすり身の淡い甘みとも好相性。少し加えるだけでご馳走感が上がります。吸い物や湯に花を浮かべれば、たちまち春のおもてなしに。茶碗蒸しや淡いだしの小鉢など、やさしい味つけの一品によく合います。
 お節供や新入学など節目の膳では“祝い”のひと手間として、花見や行楽では粋な彩りとして。この時季は桜色の練りものも登場し、椀種やちらし寿司に手軽に使えて重宝します。咲いて散るのは早い桜ですが、香りと味わいは献立に春を少し長くとどめてくれます。

旬のレシピ

  • 料理制作:フードコーディネーター 岡嶋芳枝(yoshie okajama)
  • 料理撮影:フォトグラファー 三浦藤一 (toichi miura)
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