GEN-B 旬の料理帖

旬の素材【ウスターソース】 #25

野菜と果実、香辛料が育てる万能調味料。

 「ソース」と言えば、日本ではコロッケやとんかつ、焼きそば、お好み焼きなど、庶民の食文化に欠かせない調味料。その名は、19世紀、英国ウスターシャー州の古都ウスターに由来します。
 英国のウスターソースは、酢やアンチョビ、香辛料を効かせた、スパイシーでさらりとした“隠し味”のような存在でした。日本へは明治期の洋食文化とともに伝わりましたが、酸味や香辛料が強く、醤油に親しんだ日本人には少し個性的すぎたようです。
 やがて日本人の味覚に合うよう、野菜や果実の甘み、うま味を生かしたまろやかな味へと工夫され、揚げ物や粉もの、ご飯のおかずに寄り添う“食卓の味”“かける調味料”として独自に発展していきました。
 現在、ウスターソース類は粘度により、さらりと辛口のウスター、ほどよいとろみの中濃、果実味のある濃厚に分けられます。さらに西日本ではウスター、東日本では中濃が好まれるなど、地域の食文化の違いも映し出します。
 近年は、地元野菜や果実、有機栽培、スパイス、長期熟成、減塩、無添加など、素材感を打ち出す「クラフトソース」や「地ソース」にも注目。かけるだけでなく、肉や魚の下味、煮込みの隠し味など、使い方もますます自由になりつつあります。
 庶民の味でありながら、野菜と果実、香辛料の知恵が詰まった奥深いうま味の調味料。もちろん、ちくわや練りものとの相性も格別です。ぜひお試しあれ。

旬のレシピ

  • 料理制作:フードコーディネーター 岡嶋芳枝(yoshie okajama)
  • 料理撮影:フォトグラファー 三浦藤一 (toichi miura)
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