GEN-B 旬の料理帖

旬の素材【蒲鉾】 #11

年末年始の食卓を彩る、名脇役。

 おせちやちらし寿司などハレの料理にも、うどんや板わさなどケの料理にも欠かせない「蒲鉾」。上質なものほど、きめ細やかで歯切れの良い食感と、淡白ながら上品な旨味が身上で、切り方によって料理を華やかに彩ったりと幅広いシーンで重宝される日本特有の食材です。
 平安時代の祝賀料理献立を記した書に「蒲鉾」が絵入りで登場しますが、まだ板付きではなく、竹管にすり潰した魚の身を練りつけて焼いたもの。蒲(ガマ)の穂に似ていたことから“蒲穂子(がまのほこ)”と呼ばれました。今日の竹輪の原型は、実は蒲鉾だったというわけです。
 現在の蒲鉾の原料は、タラ(スケトウダラ)や鯛をはじめ、高級・上質なものはグチ(シログチ、イシモチ)、エソ、ハモなどの白身魚が主流。魚のすり身に含まれるタンパク質「アクトミオシン」が塩と熱によって変性することによって、独特のアシ(弾力・テクスチャ)が生み出されます。
 すり身を職人が板の上につけ庖丁で盛り上げて形づくり、せいろで蒸しますが、だしのように蒲鉾も関東は「蒸板」、関西は「焼板」と違いがあります。紅白蒲鉾は江戸式、蒸した後にみりんを塗って表面を焼きつけるのが大阪式。いずれも、魚本来の弾力や風味をしっかり味わうには“12ミリ”の厚さが最適とされています。さまざまな切り方で食べ比べてみるのも楽しいですね。


旬のレシピ

TOP